2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

先行する古典的な美術を見る時に、現在の人間である僕が基盤としうるものとはなんだろうか。それは、けして美術史的な知識や時代背景に対する理解などではなくて、もっと単純に、引かれた線の冴えとか、顔料の滲みに含まれた逡巡の面白さとか、組み上げられ…

殻々工房で中津由紀「fragmental」展の最終日を見てきた。パラフィン(ろう)によるレリーフ的作品だ。構造は原則的に一貫していて、小さくやや厚みがあり中央が凹んでる円、あるいは方形のパーツが細胞状に連結し、個々のフォルムを形成している。いずれも…

茅場町のGallery≠Galleryで多田由美子展「intimate」を見た。大小様々なキャンバスにメディウムが添加され、光沢と透明度が増された絵の具(恐らくアクリルだと思うが確認していない)と、パステルか色鉛筆と思える(これも未確認)細い線が重ねられている。…

DVDで「父親達の星条旗」を見た。以前も書いたが、やはりイーストウッドは本編が終わった後のスタッフロールの時間を生かせる人なのだと思う。どこかヒッチコックの「鳥」のラストシーンみたいな光りを放つ、奇妙に不安で少しだけ甘い海の俯瞰ショットで映画…

なぜモダニズムは批判され、終わったと宣言されつづけているのかと言えば、物凄く乱暴に言えばそれがアウシュビッツとヒロシマを産んだからだと思う。このことを押さえておかないと、モダニズムの再検討をしているというつもりで、いつしかモダニズムの持つ…

金刀比羅宮の特別公開の他に、実は秋の西日本ではもう一つ重要な展覧会が予定されている。京都国立博物館の「狩野永徳展」だ。 http://eitoku.exh.jp/ 金刀比羅宮と奈義町現代美術館を見る事を軸に、あとは大原美術館とか岡山市街地になぜか密集している前川…