2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

物理的強度に支えられない彫刻の質の跳躍・エアヴィン・レーゲル展

ヒノギャラリーでのエアヴィン・レーゲル展で見た彫刻作品には、少し心が惹かれた。少し、というところが大事なのかもしれない。置かれていた彫刻は新奇だというわけでもないし、極端に大きいとか小さいとか、何か珍しい技術が使われているわけでもない。見…

死後の世界の文字としてのキトラ古墳壁画

キトラ古墳壁画を、東京国立博物館で見ていた。平日の午前中に行って、館外40分待ちの館内20分待ちくらいだったのだから、大混雑といわれたこの展覧会のコンディションとしては比較的良好だったんだろうと思う。7世紀末くらいから8世紀に造営され描かれたと…

バルテュス本人なら拒否しただろう可動壁でのバルテュス

東京都美術館でのバルテュス展は、展覧会としてはあまり「冴えて」いない。会場ではいろんな仕掛けを施して、いわばバルテュス神話=孤高かつ独自の美意識をもった巨匠画家、といったイメージを強化しようとしているのだけれど、作品の展示自体があまりに作…

生きている絵画・小針克弥の絵画

重なる、混ざる、踏みとどまる、少しだけ重なる。にじむ、盛り上がる、つるりとする、平滑に光る。透ける、ちょっとだけ透ける、むらになる、覆い隠す。隙間ができる、筆あとが残る、濁る、鮮やかになる。曲がる、細くなる、まっすぐ進む、いきどまる。滑る…