森美術館完全?レビュー#9

六本木クロッシング」展・全作品コメント、その7。

うおー、ついに最終回です。森美術館完全?レビュー完結編。

53. ニブロール
ダンス、音楽、映像と、いろんなジャンルの表現を関係付けながら活動するユニット、だそうです。今回は3面にスクリーンをたてる映像インスタレーションをやってました。
一見単なる真っ白いスクリーン。なんだろーなーと思っていたら、隣にいた女の子が突然友達に「見て!見て!」と言いながら、両手で鳥のように「はばたき」はじめました。
彼女の前のスクリーンを見ると、白いスクリーンに写った彼女のシルエットの中に、鳥の群れがとびかう映像が浮かび上がっていました。
女の子二人は大喜びではばたきつづけます。なかなかハッピーな光景でした。

54. 安村崇
観光地のポスター、みたいな写真が並んでいますが、何か変。普通の風景や場所を、「いかにも観光地」に見えるように、絵葉書的フォーマットに仕立てて写真を撮っています。
なんていう説明が、はたして合っているのかどうか自信がもてません。正直意図が読めてません僕。
柄谷行人が「風景の発見」で書いた『「山水画」において、画家は「もの」をみるのではなく、ある先験的な概念をみるのである』というフレーズが連想されます。視覚は常に概念に覆われていて、僕達は決してモノ自体をみることができない、といったことをしめしているんでしょうか。でもそれは、要するに柄谷行人を読めばいいことだし、それをわざわざ今改めて作品化しているとも思えません。
だとしたら、この作品の基盤はなんなんでしょう。だれか教えて下さい。

55. みかんぐみ
六本木クロッシング」の会場構成を担当した建築家グループのみかんぐみ森美術館の前の企画展「ハピネス」で使われた廃材で、入場ゲートやグッズショップを作ってます。
実は裏に回ると小さな迷路になっていて、秘密基地みたいになってます。案外観客のほとんどが、この裏側の存在に気づいていません。一部外の眺望が見える場所もあり、広い会場と多数の作品に疲れた人にはお勧めの休憩所です。


56. 坂茂
建築家・坂茂によるペットボトル利用のゲート。残念ながら僕がいったときは「壊れてしまったので撤去中」でした。強度不足というよりは、入場者数が想定の範囲を超えてしまったんだと思います。
この人は素材にこだわることが多いらしく、紙で作った建築とかも設計してるみたいです。ここが参考になるでしょう。http://park.org/Japan/DNP/MTN/SB/Mywork/mywork.html
要は「資源の再利用による建材」「きちんと廃棄できる建材」といった、環境問題に積極的にとりくんでいる建築家のようです。上のみかんぐみの作品と、共通のコンセプトかもしれません。

57. アトリエ・ワン
この作品の所在に気づくのは難しいです。マップを見ているひとなら分かるのですが、会場といか、建物の外、美術館のあるビルの前の広場にあります。「コタツ」を使ってテントを作っていて、建物自体が暖房器具と化しています。
中にはちょっと汚れが気になりますが、あたたかなカーペット?がひかれ、まさに自宅のこたつでのんびりするみたいに過ごせるよう、「マンガ」が4冊おいてあります。あーここにも吉田戦車が。美術界が被っている吉田戦車の影響は、かなり大きいのかも。
しかし、いかんせん外観がコワイです。あそこでのんびりできた人います?カップルが入っていると気まずいでしょうね。

というわけで、お疲れ様でした、自分。バカな試みでしたが、若干名の方が楽しんでくれたようで、励みになりました。この場で感謝いたします。
雑感を書きたかったんですが、なぜか仕事が忙しくなってきてしまいました。改めて書きます。つうかMOTアニュアルもVOCAの感想もたまってるー。どうしよう。