四批評の交差−いま、現代美術を問う−

今日のネタはこれね→http://www.tamabi.ac.jp/museum/exhibition/default.htm

行ってきたさ多摩センターまで。なんだよ向ヶ丘遊園よか遠いじゃねぇか。アホかバカかと小一時間。また南武線とか乗っちゃったよぅもう乗らねーとか決意したのに。どうでもいいが帰りの登戸ってのはなんであんなに混むんだ。お前ら登戸に何の用事があるんだ。原宿とかじゃないぞ登戸だぞ。どこから湧いた虫なんだ。キンチョールcome on.


で、多摩センターでラーメン喰ったんだよ。これがスゲェ。俺は味が薄くてコクのない豚こつラーメンというのを生まれて初めて喰った。なんか塩水みたいのに適当な麺が沈んでんの。文句なしで不味い。スープ一口すすっていきなり醤油と胡椒を投入したよ。醤油て。おまけでつけた焼肉丼は上に乗った肉が乾いてる。どういう作り置きの仕方してるんだ。昼時なのにガラガラな店内見て嫌な予感はしたんだよ。そりゃ490円のラーメンに多くは求めないよ。でもな、日高屋で390円のラーメン喰ってもこれよか遥かにマシなもん出てくるよ。てか日高屋って凄いんだな。ビバ日高屋。俺的に言うなら

日高屋>>>>>>|超えられない壁|>>>>>>多摩センターラーメン

という感じだ。黙って隣の吉野屋で豚丼喰えばよかった。後悔の涙と鼻水垂らしながら全部喰った自分が大好き。


で、肝心の展覧会だ。なんか作家じゃなくて批評家がメイン。ふーん。並べて見ると

  • 峰村敏明/黒川弘毅(彫刻)・児玉靖枝(絵画)
  • 建畠晢/島袋道浩(プロジェクトの記録)
  • 本江邦夫/大谷有花(絵画)
  • 椹木野衣/ユニット00−堀浩哉/堀えりぜ/畠中実−(パフォーマンス)・小林耕平(映像)

てな感じ。
●峰村は古典的な絵画・彫刻の復権を目指す。
●建畠は社会に係わる美術を重視、
●本江は自分自身の立場に要請される役割を果たし(多摩美教官の立場から多摩美出身の若手をフューチャー)、
●椹木は美術/美術館を揺るがす為に周辺環境を美術館内部に導入(多摩センターという町の文脈を意識した作品を作家に要請)。
うわ、なんて親切な要約なんだろう。図説すると水平と垂直に配置できる。


             (崇高)峰村/黒川・児玉
          理念性│  ・
             │ ・椹木/小林
             │・
建畠/島袋(社会)────┼─────(個人)本江/大谷
            ・│     日常性
           ・ │  
          ・  │   
  椹木/ユニット00  │    
             (悲劇)  


こんなノリ。
水平線は「人のいる場所」から美術を発信するポジション。個人的立場から本江は個人的世界を描く大谷を押し、建畠は社会に働き掛けるプロジェクトを推進する島袋を起用。


対して垂直線は「美術という理念」を問題とする。峰村は脆弱化したと言われる近代美術の中心カテゴリを見直すために黒川・児玉の作品を正統的に展示し、椹木は峰村や他の2人が前提とする確固とした「美術」という制度に斜線を引くように、基盤のない表現(訓練されない身体によるパフォーマンスと映像作品)を選択。個人の感覚から美術というカテゴリの周辺を巡る小林と、死の視点を援用したりしながら会場内外でパフォーマンスするユニット00、という構図を組んだ。


というわけで、こうやって乱暴にでも図式化しないと、若干意図が見えづらい展覧会ではある。でもまぁ、気持ちは分かるし、意義も(それなりに)あったんじゃねーの。


問題はこういった配置をして見せること自体に、どのくらいアクチュアリティがあるかなんだけど、正直言ってない。全然ない。「美術業界」内部にならあるんだけど、それが外に響いていかない。


そういう意味では、「美術批評家には今やることがない」と言う椹木野衣は、正統な危機感を持ってるわけだ。悲惨なのは、その発言があまりに正しすぎて、「じゃ、なにをアンタはやってるの?」ということになってしまってる所だな。椹木が強調する「日本における美術という制度を疑問視する」という立論が、美術内部ならそれなりに有意義であっても、いざ実際に「美術の外」に出てしまえば、そんなのはコップの中の嵐で、結果的に既に死んでいる「日本における美術」をショック療法で延命させてるに過ぎなくなってしまっている。なんと、椹木野衣は日本美術を必死に救おうとしているブラック・ジャック先生だったのだ。ピノコ、愛してゆ。


で、ここまで優しく意図に沿って見てやった結果、この展覧会に関しては批評家よりも作品の方に力があったと言うことだ。具体的には堀浩哉の5/23のパフォーマンスの事だけど、詳細は明日。まったねーケーロヨーン。