バカにもわかる美術の本。(1)

ここんとこ作品見てないので、ちとネタ切れ。というわけで、「美術の本」案内を書いてみました。春だし、新入生のシーズンだし。「美術のこと知りたいけど、きっかけがなー」とか言ってるヘタレな君に、ヘタレな僕がカンタンな美術本案内をおおくりします。なにしろ僕が書くんだから、「バカにもわかる」。何回かに分けてお送りします。


●美術史ね。
なにはなくても、とりあえず歴史は知っておいた方が安心するでしょ。まずは西洋美術史から。

なにしろ偉いゴンブリッチ先生が主に10代の少年少女向けに書いてくれた平易な西洋美術史の本。たいへんお薦め。困るのがこの本、絶版中で本屋にないのだ。なんで増刷・あるいは文庫化しないのか理解に苦しむけど、ないもんはない。ネットの古本屋さんで見つけてみて。僕は神保町の古本屋街で買いました。


で、日本美術史。

  • 「ひらがな日本美術史」橋本治著・新潮社

アクロバティックな選定というなかれ。橋本治の書いたこの本は、とてもとても良い本なのだ。何がいいかというと「本物が見たくなる」という点で、綺麗な図版が豊富で、そしてなにより橋本治の本文が素晴らしい。「ひらがな」と銘打つだけのことはある、読み易い語り口なのに言ってることは高度。そして面白い。当たり前だけど、日本にある美術が中心なのだから、ちょっとその気になれば実物を目にする機会を作る事ができます。これ重要。西洋の美術も含めて、本を読んで興味を持ったら実物を見に行こう。その方がずっとワクワクする。美術の勉強は頭と体、両方使うアクティブなものだと思う。全身運動です。


○副読本
上記二冊は、内容はとてもとっかかり易いのだけど、入手のハードルが高い。「美術の歩み」は上記の通り絶版だし、「ひらがな日本美術史」は豪華カラー本全6冊で、定価で揃えたらン万円。なかなか手が出ないでしょう。「ひらがな日本美術史」は順番に買ったりしないで、興味あるところをつまみ食いしていって、気づいたら揃ってたなんて読み方がベストだとおもうけど、それでもねぇ。というわけで副読本。

  • 「カラー版西洋美術史」「カラー版日本美術史」共に美術出版社。

ベタな美術史の教科書。美大でも教科書にしてる。教科書だから、通して読んで面白いもんじゃない。固有名の羅列っぽい。でも、なんてったって買い易いし、カラーで図版が見られるのは良い。年表だってある。各時代区分が即物的にコンパクトにまとまってるから、トイレに置いておいて「今日はバロックでも」とか「んー飛鳥時代かなー」とか言いながらバラ読みするといいかも。