雑記

んーレビューが書けない。まぁこういう時期はあるものです。で、雑記。


最近は年下の人の作品が刺激的で、オペラシティー・プロジェクトNに続いて見た昨日の井上実氏の個展の作品のあまりの高度さには驚嘆したし、内海聖史氏の去年のMACAギャラリーの発表とか、思わず感嘆しながらも爽快な冒険に楽しくなってしまうような展示に触れたりして、面白いなぁ、と思わせられてしまう。それにくらべると、僕よりずっと先行するような「年長」の人々の目立たなさ、というのが気になってしまう。


もちろんこれは逆説的な言い様で、メディア的には「年長」の人々の方が遥かに華々しく「活躍」してらっしゃるわけだが、その活躍ぶりが、どうもピンと来ない。


とにかく今の若いモンは(こういう言い方し始めたら終わりですかそうですか)勉強している。その勉強っぷりがたまに危うく見えるわけだけど、「絵描きはバカでいいです」「理屈じゃ無いよハートだよ」的だらしなさと退屈さにウンザリしている僕としては、ちょっとでもアンテナに引っ掛かるのは、ごく普通に多くの先行する面白い作品に触れ、そこから「絵描きが絵描きからしか受けられない影響」をまっとうに受け、ごく普通に必要な勉強をしている人の作品で、そういうのを沢山見ていると、なぜか年下が多く含まれている。


グリーンバーグ批評選集で、マチスの項に「マチスは年下の影響を受けられる存在だった」みたいな記述があって、ああ、こういうのは案外大事な事なのかなと思った。要は良い作品を偏見なしに見ていれば、年下/年上というのは関係がないはずなんだけど、人は作品を見る時、驚くくらいいろんな「縛り」を受けていて、そのことに意識的でないと「影響をきちんと受け」ることが出来ない。別段「新しさ」なんぞにすり寄る必要はまったくないけど、自分を規定してる条件をなるべくカッコに入れて、単に良い絵を良い、と判断する訓練を続けなければ、どんどん自分の目がつまらなく(自己肯定しかしない目)になっていく。


良い絵を見よう。ああ、ブリジストン美術館にまた行かなければ。あ、古谷利裕展が初日だぞ!情報は以下。

地図はこっち。

古谷氏の批評を読みながらいまだその作品を見ていない人は、はっきり言って損をしています。誤解を恐れずに言えば、氏は絵画作品においてこそ、他の追随を許さない「面白さ」を実現している人だと、去年の銀座での個展を見て思いました。今回の展開も期待。