このblogの記事を抜粋して個展会場で配付する本を作る件だが、やはり製本で悩んでいる。B5やA4ならキンコーズの製本サービスが一番楽なのは前に書いたが、A5以下となるととたんに選択肢が減る。今一番カンタンにそれっぽく製本しようと思うと「とじ太くん」というクールなネーミングの機械がある。


製本というのは個人でやろうと思うとすごく大変なので、この金額はけして高くない。どのくらい大変なのかと言えば、下記のキットの「製本講座」を追えばわかる(mixiで製本をした経験のある方に教わった)。


これはかなりマジなキットだ。それでも画期的にパーソナルユース向けのキットといえる。以前、知人のイラストレーターのこやまけんいち氏(http://www.h3.dion.ne.jp/~girls/home.html)が画集を自作していたのだが、これが和とじの糸とじ製本で、今回もこやま氏にはこの糸とじ製本を勧められた。本格的洋とじは職人的技術が必要で、機械によるのりとじは中割れしやすいそうだ。だが正直、あそこまで大変な思いはしたくない。学生の頃からきれいな製本で絵本を作っていたこやま氏が苦しんだ糸とじ製本を、僕が上手くやれるとも思えない。上記キットも十分手間だ。中割れくらい(マンガの単行本でよく見かける現象だ)は覚悟しても良いと思っていて、それならやっぱり「とじ太くん」かな、と思っていた。他にはリング綴じ製本のキットというものもあるのだが


ITO-YAでサンプルを見たかぎり、どうもグッとこない。いかんせんリング綴じだと用紙への穴あけがネックになって紙で遊びがきかない。更に簡易になると、手作りアルバムキットみたいなのが出て来るが、これは仕上がりもいまいちだし第一高い。1冊つくるのに2000円も3000円もかけていられない。


4冊作る気があるのならもう「とじ太くん」だろう。ハンズの製本キット売り場では、本文の背をプラスチックの用具でキュッとまとめて見返しをつけて表紙をつける、という簡易キットもあったのだが、僕はどうもあの古い絵本のような厚く堅くコートされている表紙用紙が好きではない。ごく一般的に考えて、個人が本を作ろうと思ったら、一定の冊数、具体的に言うと10冊の単位のオーダーを超えた段階で、黙ってキンコーズ等のサービスビューローに持ち込んだ方が早いし安い。最小でB5、紙も自由度がきかないが、普通に冊子にしてくれる。冊数はいらないから徹底して自分好みの本を、と思えば本格的自家製本キット、手元に1冊簡単に、であれば簡易キットでいいだろう。10冊弱で適度な自由度と仕上がり、という今回の僕みたいなパターンだと、やはりリング綴じかのり綴じの機械を買ってしまうのが一番近道だと思う。この路線で最大の課題は「いかにA5の用紙を準備するか」なのだが(市販されているカット紙はほぼ最小B5までだ)、これは手がないこともない。


と、ほとんど決めたつもりでいたら画材屋の世界堂で、2穴ファイルの背の金具部分だけ、というものを見つけた。レバー式で開閉し、リベットで表紙にしたい別のカバーと固定するタイプのものだ。この金属の質感がちょっと悪く無い。先のエントリで「本にしたいのだからファイルは違う」と言っていた矢先になんだが、こやま氏にアドバイスを受けた時「作品のキャンバスを表紙にしたら」と言われたのも思い出した。今回の個展で展示しなかった作品をバラして適当なサイズに切り、リベットで金具を打ち付けて表紙にしてしまう、という手もある。ハンディさでは随分劣るし、キャンバスはぺらぺらしてて表紙にならないが、どうせ遊びなのだからこのくらいやってもかまわないかもしれない。2穴ファイルとなれば紙はいくらでも選べる。最大のメリットはA5にこだわる必要がなくなり、もっと小さく大量に市販されているはがきサイズのカット紙がふんだんに使えることだ。2穴パンチを開ければなんでもイケる。


当初のイメージから違ってほぼ1点もの、バラせる作品を考えても多くて数冊しか作れないが、かまわない企画といえば全然かまわない企画だ。ややアーティストブックの呈をなしてくるが、最初から商品ですらない。そもそも、中身がずいぶん流動的になってきた。いざ過去ログを再編集するとなると、妙に手を入れたくなる。黙って選んだものを流し込んだほうが冗長にならずよいと思うのだが、このへんも考え所だ。1月に完成という線は消えた気がする。まぁどうせ5月まであるのだから、ゆっくり考えることにした。