ゴンブリッチの「美術の物語」に関するエントリはちらほら反響があって、これはとても嬉しい。僕は今日までに半分くらい(盛期ルネサンスが終わったあたり)まで読み進めていて、やっぱりこの本面白いなぁ、と確認している。入門書でも再発見する事はたくさんあるし、なんといっても図版が綺麗になっている。多分今回の再刊のキモは原書に忠実、ということで、上下巻でなくなったのもそのためだろう。横書きのレイアウトも図版と本文の関係を崩さないためだろうし、よりゴンブリッチの意図が直接伝わる感じになっている。旧日本語版が出たあとも改訂がくり返されたらしく、最後の章が付け加わった他、図版もいくつかさし代わっているし、これは旧版を持っている人でも再購入して損はないんじゃないか。


組版を含めた造本にコストダウンの努力が見えているあたり(正直高級感溢れるつくりではない)も、「入門書」がこれ以上高価にならないための努力だろうし、訳者の後書き(方針や分担などの説明)がなかったり、参考文献に邦訳本の情報が一冊もなかったり(本当に一冊も邦訳されてないのかも)、一部の図版が綺麗すぎ(フラ・アンジェリコなどは明るすぎる)たりするのも、なんとか我慢できる。いろんな条件があったと推測されるので、とにかく今は一冊でもこの本が売れていって欲しい。高校以上の教育機関がこの本を蔵書してないのはおかしいとすら思うので、学生の人とかは積極的に司書さんにリクエストしてほしい。こういうのはほんの少しでも盛り上げておきたい。冗談抜きで、数年後にまた廃刊、なんてことが平気で予想できるから。