書籍「組立」−作品を登る−

A5/132ページ 税込み1470円(本体1400円)


※発刊が、3月8日となりました。4日から8日までは、「組立」会場では、予約受付となります。送料無料。

  • 高木秀典 【製作ノート】
  • 有原友一 【「画面」の前で−作品を登る−】
  • 佐藤雄一×松浦寿夫 【『「固有値(Eigenwerte)」としての支持体を自己生成する』可能性】
  • 大山エンリコイサム 【絵画とスピード違反】
  • 郷原佳似 【フレンホーフェル効果】
  • 境澤邦泰 【絵画と視線の行方】
  • 上山和樹 【主体化の失敗から、触媒としての生成へ】
  • 水野 亮 【展覧会レビュー×2本(+「写真を見ること」についての私論)】
  • 永瀬恭一 【脱美学−ブロークンモダンの諸相】


会場の他、メールでも御注文承ります。

  • 【「組立」−作品を登る−】とご明記ください。
  • また、住所・氏名・電話番号・商品名と数量をお書き添えの上、下記アドレスまで送信してください。
  • kumitatebook001@kumitate.org
  • 到着後1週間以内に、同封の振込用紙で郵便局にて代金をお振込頂きます。
  • 商品代金と別途で、振込の際の振込手数料(70円程度)はお客様のご負担とさせて頂いております。あらかじめご了承下さい。


●Nadiff、池袋ジュンク堂、両国ART TRACE他でも販売予定。


以下、永瀬による「脱美学−ブロークンモダンの諸相」より一部抜粋。

ブロークンモダンとは何か
日本におけるプロフェッショナルな批評の形骸化、出版・印刷業界の弱体化、美術館の市場への従属化といった既存制度の崩壊後の廃墟の上に現れた「空き家」に自発的に発生し成長する批評的美術および美術批評の乱立。これを筆者は「ブロークンモダン」の諸相として概観する。
かつてポストモダンとして喧伝された、表層のイメージの無限とも思われる交換が、その実インフラとして強固に張り巡らされた近代的下部構造に下支えされていたことが、そもそもの基盤となる制度の疲労によって逆説的に明らかになっている(老朽化したインフラが21世紀の日本の経済・政治の地盤沈下によって上部構造を支えきれずに瓦解していく有様がシンボリックに見出されたのが2011年の福島第一原子力発電所の大規模な事故以降の状況であることは確認しておきたい)。反復になるが、このような下部構造のメルトダウンによる上部構造の変質は既に進行していた。この過程は今後も進行するだろう。しかも、福島第一原発と同じように、その過程の多くはけしてポジティブな形ではなくネガティブに実現するだろう。これは予言ではなく必然だ。この稿での様々な活動の描写が、もし積極的なものに見えたとしたら、それは少なくとも一面的な把握である。(中略)故にここで使われたブロークンモダンという言葉はかなり苦々しい意味合いであり、可能であるならただちに放擲されるべき言葉ではある。しかし、それが次の状況を生む萌芽になりうる可能性はある。