筒井宏樹×組立《オルタナティブ・アート・セオリーに向けて》


筒井宏樹 (つつい・ひろき)
編集・展覧会企画。「Review House」編集員、「REAR」編集員など独立系雑誌の編集者を経て、現在、鳥取大学講師。編著=『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス、2013)。共著=『現代アートの本当の学び方』(フィルムアート社、2014)。携わった展覧会=「であ、しゅとぅるむ」(名古屋市民ギャラリー矢田、2013)、「イコノフォビア」(愛知県美術館ギャラリー、2011)ほか。

今回使われる「オルタナティブ」という語の政治性ー美学性への検討、ということを僕は最初に考えていました。
端的に今、「オルタナティブ」という語は一般にポジティブに使われるわけですが、この語がもつ政治性ー美学性は存外危ういものです。
ときにほとんどアリバイ工作に使われる。星野論考でのランシエール読解に沿えばなんでもないものをオルタナティブな場に充填しているにすぎない場合がありうる。

(中略)

今回の組立-転回の冒頭の美術館対談にしても、既にありとあらゆる場が「オルタナティブ」化している。東京国立近代美術館の常設展示も、いわば仮設的な正史、別の言い方をすれば正史のオルタナティブとしての正史を考えているわけで、このように全面化した「オルタナティブ」という語の解体的検討に星野論考におけるランシエールの考え、ブリオーの反論が援用できそうだなとあたりをつけています。
(メールのやりとりより抜粋)