ART TRACE PRESS04が刊行になります


11月28日発売のART TRACE PRESS04ですが、一部書店では12月中旬に店頭に並ぶそうです。ART TRACEのサイトからの通販もお勧めします。


http://arttrace.org/books/details/atpress/atpress04.html


今回、僕はレビューを二本、寄稿しています。

  • 「不可視の宛先、南天子画廊の岡ざき乾二郎」
  • 「あつめる、つくる、ばくはつする ゲーム《マインクラフト》の呼び声」

また、引き続き編集協力もしています。03号と02号の発行間隔が2年半あいた事を考えると、1年半で04を出すことができたのは良かったなと思います。


おそらく、先日亡くなった中西夏之氏のインタビューに注目があつまると思います。実際、僕が知る範囲でも中西氏の言葉としてはかなり率直な内容になっている印象です。収録してから2年経ってしまいましたが、むしろ今発表されることに意義が生まれたかもしれません。


早見堯氏の批評の採録は、とても貴重なものです。どれも一読して驚く若い方もいるのではないでしょうか。このような水準の美術批評がきちんと書かれていたことの裏返しに、世で喧伝され消費される「美術批評」で物事を判断すると、本当に様々なことを見誤るということも逆照射されているように思います。お勧めは「ケネスノーランドの絵画 全体性と物質性(1978年)」「壁から離れる絵画 理知と感覚との再統合(1980年)」です。


鈴木了二さんが登壇された「座談会 もうひとつの建築──立原道造再考」の収録と記事化は、僕にとっては個人的にとてもうれしいものでした。2007年に、鈴木氏のお仕事である金刀比羅宮を見たいがために四国まで一人旅をしたことが思い出されます。

http://www.konpira.or.jp/about/architecture/ryoku-tai-den/page.html

また、アセテートから出版された、鈴木氏の手帖をまるっと書籍化したすごい本「JULY 2001〜MAY 2004―RYOJI SUZUKI ARCHITECT EXPERIENCE IN MATERIAL NO. 47 PROJECT KONPIRA」も購入して何度も見返しました。建築家という思考そのものが本になってしまったようなめちゃくちゃな(それでいてかっこいい)本です。こんな本、後にも先にも見たことないです。

http://www.acetate-ed.net/bookdata/007/007.html


横たわる建築、という鈴木氏のキーワードは、はっきりと「建築史の更新」を目指している、極めて野心的な提案です。今回の対談を読めばわかるように、それは近代日本の見え方も更新する可能性がある。建築にかぎらず、美術、芸術一般に関心がある人にとってヒントになると思っています。


拙レビューについては、是非ご感想などお聞かせください。引き続き05号の準備も行われています。お楽しみに。