絵画メモ

色彩と書くと、まるで全てから解き放たれた純粋な光というものがありそうな気がしてしまうが、絵画においてはそんなことはありえない。絵画ではどんな色も、その顔料を含む絵の具という物質を通してあり、それが置かれた基底材があり、マチエールがある。その複雑な重なりから、色彩という観念だけを取り出すわけにはいかない。

ものすごく当たり前のことなのだけど、でも、「色彩について考える」という時は、こういった言葉にはり巡らされた罠に慎重にならなければならない。案外この罠は強力なのだ。そしてそれは、なにも色彩についてだけの話ではない。