2006-01-01から1年間の記事一覧

このblogの記事を抜粋して個展会場で配付する本を作る件だが、やはり製本で悩んでいる。B5やA4ならキンコーズの製本サービスが一番楽なのは前に書いたが、A5以下となるととたんに選択肢が減る。今一番カンタンにそれっぽく製本しようと思うと「とじ太くん」…

先日、展示中の殻々工房に来てくれた画家の内海聖史氏と話したのだけど、彼が「パネルは空間寄りのもの」と言っていた。記憶がちょっとあやふやだが、内海氏によれば、絵画は空間とパネルと絵画でできているという。これは恐らく展示空間と、基底材と、絵の…

自家製本を作って個展会場に置き、配布することを思いついた。内容はこのblogで書いたエントリを選別し必要に応じて訂正したものになるだろう。若干は新規で何か書くかもしれない。主に古典及び近代絵画についてのものを中心にしたいが、コンテンポラリーな…

「コープス・ブライト」をDVDで見たのだが、この映画は技術的な点に感心する他ない映画で、面白く無い。いくらなんでも「女(の人形)」たちが優しすぎて主役の「男(の人形)」が一切傷を負うこともなければ泥をかぶることもないところがあんまりだ、と突っ…

土曜日は那須の殻々工房へ展示をしに行ってきた。心配された雪はひとかけらもなく晴れて、安心して出かけたのだが、行きにナビゲーター役の僕が大ぽかをやってしまい、車を出してくれた友人には迷惑をかけてしまった。混雑はなく高速道路の状況自体は順調だ…

何時の間にか個展が迫ってきた。とにかく搬入当日の天候が心配で(雪になったらヤバい)、あとの準備はだいたい終わっている。こういう妙な時間があるところが何か変で、僕は個展当日の朝まで描いてるとかいう経験はほとんどないのだが(そんな時間のとれな…

ストローブ=ユイレの映画がアテネ・フランセでまとめて上映されていて、後半のいくつかを見に行った。彼等の映画を見ていると、「こわくて美しい」と思える。とりあえずは「美しさ」が感受できることは重要だろう。ストローブ=ユイレの映画が難しいと思われ…

こうの史代の漫画「さんさん録」を読み終えて感じる不思議な感覚は、恐らく最終話の「見てると思わなきゃいいのよ」という副題によって立ち上げられる。極端な言い方をすれば、この言葉によって2冊にわたる「さんさん録」のすべてのコマが、主人公・参平の死…

東京都美術館で大エルミタージュ美術館展。「大」は余計だ。エルミタージュは確かに巨大な美術館だが、今回日本に来ているのはけしてエルミタージュの中核的なコレクションではない(そんなものは門外不出かもしれないが)。エルミタージュと聞けば誰でもレ…

東京国立博物館で「仏像 一木にこめられた祈り」展を見た。仏像というのは、個々に出来がいいものであれ悪いものであれ、たんなる工芸品として見ることも、近代的な彫刻という概念の延長で見る事も難しい。光にしても何にしても、本来在るべき場所で、あるべ…

個展の詳細が決まりました。つうかあと一か月ないんじゃんよ。 ●永瀬恭一展 2006年12月16日(土)〜2007年5月6日(日) Bar+Gallery 殻々工房 http://karakarakobo.seesaa.net/ 〒325-0303 栃木県那須郡那須町高久乙820-162 地図:http://www.mapion.co.jp/…

江戸東京博物館でボストン美術館所蔵肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」を見て来た。ボストン美術館で公開されずにいたビゲローという医師のコレクションを調査しそこから集めた肉筆画を中心にした展覧会で、僕は江戸時代の肉筆浮世絵というものは良く知らないのだ…

損保ジャパン美術館で「ウイーン美術アカデミー名品展」を見た。僕は覚えているかぎりクラナッハという画家の絵を見るのは初めてで、ウフィッツィにクラナッハの友人だったルターの肖像があったのだが見ていない。北方ルネサンスのコレクションがある部屋が…

ASK art space kimuraで藤幡正樹展「Portray the Silhouette-絵画の起原?-」を見た。会場には3つの映像作品が置かれていたが、1つは調整中で見ることができなかった。残り二つの作品のうち、1つだけについて書く。壁面に沿ってテーブルがあり、そこに固定さ…

絵において一番楽しいのは絵をえがくことで、それ以外の事は付随的に楽しいか一番の楽しみを成り立たせるためにガマンしてやらなければならない面倒臭い事だったりする。僕にとってはパネルを組むことなどは「楽しみを成り立たせるためにガマンして」せざる…

場所について。今までいくつかの場所で一定の年月を過ごし折々に移動してきた。どれも客観的に見れば現実的条件から居着いてしまっただけだが、なんだか導かれるように赴いていったと感じる場所が多い。 最初にそんな気分を感じたのは高校生の頃で、学力的に…

オペラシティのギャラリーでは、「伊東豊雄 建築|新しいリアル」展も開催されていた。この展覧会の冒頭では「物の持つ力」を強調する文言があったのだが、それが最後まで違和感として残った。違和感という言葉が断定的すぎるなら、不思議な感じ、と言っても…

オペラシティ・アートギャラリーでプロジェクトN/山内崇嗣展を見た。この作家は変だ。まず混乱させられるのはその点数の多さだ。オペラシティ・アートギャラリーの長い廊下に沿って、61もの作品が一気に並んでいる。そのうちの数点はブランクになっている。…

ずいぶん前に、府中市美術館で松浦寿夫氏が絵画の公開製作をしているのを見に行っていた。松浦氏の作品は、3月になびす画廊で見た時のものとそれほど印象は変わらなかった。しかし全体の感触として、単調な気がした。ガラス戸のわきにモニタが設置され、そこ…

ICCのリニューアル・オープニングイベント「ネットワーク社会の文化と創造」の全体が、ダウンロードして視聴することができる。 http://www.ntticc.or.jp/Archive/2006/OpeningSymposium/symposium01_j.html 恐らく司会の浅田氏が作った流れなのだとは思うが…

国立西洋美術館でベルギー王立美術館展を見た。率直に言うと僕が期待したような作品は来ておらず、ややがっかりした。フランドル地方というのはなんと言っても油絵の具の発明地なので、ファン・アイクとはいわないまでも、油絵黎明期のものが1つでもあればな…

少し前だが、出光美術館で風神雷神図屏風展を見た。国宝の俵屋宗達の風神雷神図と並べて、それを模写した尾形光琳の作品、さらに光琳を写した酒井抱一の作品を一挙に見せるという珍しい企画で、60年ぶりの3点同時公開だそうだ。出光美術館というのは、皇居を…

固定しえない様々なものをあえて固定し、あるカタチの中に定着するという行為は、必ず無茶な部分を含むし、場合によっては全体が無茶そのものになる。例えば恋愛において、今現在相手に魅了されているといっても明日はどうなるかわからないし、徹底的に微分…

コバヤシ画廊で行われている野沢二郎展について。キャンバスに油彩で描かれた絵画が3点展示されている。いずれも鈍い深紫の層が画面の中心を占め、周辺部に一部明るいピンクの層がある。また、白の絵の具が点々と散っている。表面はどの作品も歯形のような痕…

実現してほしい、とある小さな展覧会へのメモ(来年に向けて)。 「落書き」が「絵画」と違うのはどこでしょうか。例えば抽象絵画を見て、子供の落書きのようだ、と思う人は少なくない。しかし、美術館などに立派に展示されているものを見て、はっきり落書き…

終わってしまった展覧会だが、レントゲンヴェルゲで行われていた内海聖史展について。白い壁面に、5cm×5cmのパネルが、縦22点、横46点等間隔に並べられている。画布が張られているパネルに綿棒を使って油絵の具を刻印している。おおよそ1点1点に関してはその…

なんだか忙しい。理由は単純で、新しい製作環境を模索している。いままでかなり長い間、賃貸アパートの6畳一間で製作していた。机も必要で画材も山積みだから、ここだと100号描くのにも苦労する。サイズということなら、こんな場所でも2メートル×1メートルの…

クリーブランド美術館展ではいくつか気になる作品を見る事ができたが、思わず何かを言いたくなりながら、しかし躊躇してしまうのがモネの「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」だ。この作品は、どうにも「読む」事を要求してくる絵で、しかも作品それ自体を「読…

森アーツセンターギャラリーで開催中のクリーブランド美術館展で見ることのできたセザンヌ「小川」について。1895-1900年頃、キャンバスに油彩で描かれている。縦59.2cm×横81cmの大きさがある。 何故この絵が目にとまるのだろう。まず第一に、それがあのセザ…

今年に入ってから筆で作品を描き初めてびっくりしたことがある。筆という道具がとても奇妙なモノである事に気付いたのだ。まず最初に感じたのは恐ろしく高機能だということで、この筆という道具を使いこなすのはそうとうにハードルが高い。実は去年、おっか…