見に行ったもの

●ビデオアートスクリーニング トウキョウvol.3「paradise views楽園の果て」

面白かった。ビデオアートの作品でこれだけ「大爆笑」できたというだけで画期的。それでいてテーマは重厚。小泉明郎ジョアン・オノーフレの作品は、一時期ギャグを先鋭化の果てにシュール+ナンセンス化していたダウンタウンのまっちゃんと拮抗する。展示ではなく上映という形式をとったのも成功。
もっとたくさんの人が来てもいい気がした。ビデオアートスクリーニング実行委員会はNICAFが母体で、今回独立したそうな。今後も続けてくれるでしょう。期待のプログラム。

●三角の家オープンハウス

舟を思わせる三角の家。周囲に敷かれた白い石が白波に見える。開口部が少なく厚みのある壁面に開いた丸窓、屋上にはり出した艦橋を思わせる明かり取り。内部は薪ストーブの煙突がまっすぐ伸びる3F分の吹き抜け、その吹き抜けを渡る小さな渡り廊下。ミニマルな合理主義建築とも、いわゆるポストモダン建築とも違う、すっきりとした中に数々の象徴性を感じる面白い家だった。時を渡る舟、都市を渡る舟、といった趣き。中の吹き抜けで芝居ができそうなイメージ。

●アプリケ作家 宮脇綾子の世界

雑誌「クウネル」(http://kunel.magazine.co.jp/)の6号(http://kunel.magazine.co.jp/issue/index.jsp?gosu=200403)で知った宮脇綾子。実作がこれだけまとめて見られるのは貴重なのかもしれん。

宮脇綾子は全てを「よく見る」。モノ自体を徹底的に見ることで、そこにイメージからのズレを見い出し、その驚きが製作の動機になっている。
しかし、宮脇綾子は写実に溺れない。いざ製作に移ると、モチ−フは全て「平面」に抽象化され、古生地の積み重なり、レイヤ−にスライスされる。作品はモチ−フから独立し、生地の色彩や模様、テクスチャによる複雑な関係性に置き換えられる。ここにあるのは単なる優れた手芸ではなく、形式的な仕事なんだと思う。