取り壊し予定の建物での展示:那須温泉アートアパートメントに参加中


那須にある温泉旅館「一望閣」の、今年取り壊し予定の建物で展示をしております。「那須温泉アートアパートメント」というプロジェクトの一部となります。情報は以下のサイトでご確認ください。


一望閣は、新旧三つの建物からなりますが、もっとも古い旧館は老朽化が進んでいます。この冬には取り壊しと建て替えがなされます。僕は「絵画を想う場所・ポンペイ那須」として、ミックスジャムに出した絵画6点を階段下に設置してきました。ここ数年続けている、近代絵画の画集を見ながら描いた作品です。今年11月の閉鎖時期まで展示されています。


僕の展示歴の中でも過酷な環境となりました。もともと厳しい状態を楽しむくらいの気持ちでいましたが、今月になって階段最上部の天井が大きく崩落し、一時は展示自体が無理かと思われました。現状でも真夏の温度・湿度の中で、キャンパス絵画がどこまで耐えられるか、緊張の中での展示となっています。問題が発生したら、そこで展示が終了する可能性もあります。


しかし、搬入を終えた今、もし作品にトラブルがおきたとしても、そのことまで含めてこの展示の一部として包摂できると考えています(当然、可能な限りの対策はしていますが)。また展示の外でも、実現に至らないものも含めいくつかのコミュニケーションがありました。こういった出来事も、「絵画を想う場所」のプロセスに繰り込まれていると思います。


那須温泉アートアパートメント」自体は十数名が参加予定しているプロジェクトですが、今展示をしているのは僕と米倉万美さん(マーヤを探せ!)くらいでしょうか。八月には、ポーランドから帰国された坂光敏さんが、一ヶ月滞在してライブ・ドローイングをされる予定です。他にもキオ・グリフィスさん、建築家の秋山東一さん、内海聖史さん、小林達也さん、佐藤陽香さん、光山明さんなどが年内から来年にかけて順次作品を設置されるはず(ほとんどの作家さんは取り壊し予定のない建物で展示されます)。作家リストとマップはこちら。


http://karakara.pepper.jp/nasuonsenartartists


この企画、面白いのは作家の作品が展示されている部屋に宿泊可能なこと。ベネッセの直島や一部の都市型ホテルでこういう試みはありますが、那須の温泉旅館で、というのはユニークだと思います(僕の展示場所は宿泊室ではないのでそこで寝泊りはできませんが)。宿泊予約・お問い合わせは一望閣さんへどうぞ。なお、一般見学も可能です(一部お部屋の展示は宿泊状況によりご覧になれない場合があります)。


僕は今年の11月まで今の展示を続けたあと、冬季の改築を待って、来年5月くらいに一望閣内の別の場所で改めて展示を始める予定です。こちらはまた別途告知いたします。よろしく御願いします。