観光・イタリアルネサンス(29)

●参考図書2

現地で買ったカタログについて書く。なかなか日本で見つけることはできないだろうが、それぞれの項目で、国内で入手する方法・あるいはそのヒントになる情報を書いた。もちろん、持ち帰った人から古書店に流れたものもあるかもしれないので、現地に行かなきゃ無理、という事もないのではないか。


■ウフィッツィ美術館
まんまな書名だが、ウフィッツィ1Fで売ってる公式カタログ。フィレンツェの空港にもあった。かなり厚い。この他にフィレンツェの美術館ではハンディな公式ガイドブックと中くらいの厚みのカタログが置いてあるが、気に入った美術館なら重量を恐れてはいけない。このカタログ、ハッタリではなく非常に充実してるのだ。今出ているのは2001年に編纂されたもので、作品の来歴や基礎的な評価など、ほぼ最新の知見が書かれている。序文に「専門的でありながら初心者にも」と書かれているが、十分専門家向きに見える。流石に収蔵品全部が載っているわけではないが、主だった物は網羅してあるから、行くなら確実に買っておきたい。

各国語がそろえてあって、お得意さんの日本人向けのも当然ある。が、気になることが一つ。日本語訳はまったく問題なく、素晴らしいものだが「文字組み」がモロにワープロである。日本語組版ができる環境がなかったのだろう。イタリア版のレイアウトに沿って流し込まれた日本語ワープロの出力紙を撮影して、フィルム上で操作して(文字版だけ別フィルムで、各国語のフィルムを当て込んでいるのだろう)印刷してるから、書体は安い(つうかワープロ文字)し文字がガタついている。表紙の「ウフィッツィ美術館」の文字がすでに怪しい。こんな事気にするのは僕だけかな。くり返すがテキスト自体は良いので29ユーロはお買得。

ジュンティ(GIUNTI)社刊とあるが、GIUNTIのwebページでは、このカタログは見つけられなかった。もう一段小さく薄いカタログやガイドブックの情報はあるようだ。問い合わせることは可能だろうが、少なくとも英語のメールを書く必要はあるだろう。

ISBN:8809024648、以下のページからも購入の道がみつかるかもしれない。


■ヴァチカン
これもそのものずばりの書名の公式カタログ。上で厚いの・中くらいの・ガイドブックと3種あげたが、そのうち中くらいのを購入。サン・ピエトロ聖堂及び設置されたベリーニの彫刻やミケランジェロピエタ、絵画美術館、システィーナ礼拝堂ラファエロの間、彫刻美術館が押さえてあるが、ページ数の関係か絵画美術館の収録作品数がちょっと少ないのが寂しい。これで満足できない人は分厚いのを買うしかない(ちなみに一番大きいものは、上のウフィッツィ公式カタログより更に大きくずっと高価だった)。システィーナ礼拝堂に関しては図版は相応に充実していて、ミケランジェロだけでなく側面壁画のボッティチェルリやギルランダイオなどの作品も載っている。

印刷は良い。作品写真はやや明るすぎる気がするが、こんなものだろう。何が安心だと言って、上記ウフィッツィ公式カタログで見られたようなワープロ文字でなく、きちんとした日本語組版が行われている。ここで日本語組ができて、なんでウフィッツィのカタログがアレなのか理解に苦しむが(ローマとフィレンツェの差か?)、表紙の「ヴァチカン」の文字のバランスはやはり微妙。訳文は問題無し。テキスト内容も流石に厚いものにくらべれば簡素だけど、十分信用できる。15ユーロ。

ISBN:8875710996。ATS Italia社刊とあるが、以下のサイトには情報がない。

欲しい人はやはり以下のページがヒントになるかも。


■ピッティ宮殿パラティーナ美術館公認ガイドブック
ピッティ宮では、一番ハンディなガイドブックを買った。なにしろ簡易なものなので、図版の数や大きさはまったく期待できない。画集としての価値はない。が、ガイドブックとして見ればバランスのとれた、ごく普通の出来ではないか。各居室の説明から、ラファエロ、フィリッポ・リッピ、ペルジーノ、ティッツイアーノと、有名所のみポイントを押さえていて、解説も短い。組みでは文字欠けが気になるが、8ユーロでこれ以上は望めまい。ISBN:8886392737

で、実はこのパラティーナ美術館の公式ガイドブック、僕は帰国してから国内で購入している。以下のサイトで通販されている。

・イタリア雑貨アニマータのサイト

パラティーナ美術館の他、メディチ家礼拝堂美術館の公式ガイドブックもある。メールでの応対は丁寧で好感がもてたし、現地で買いのがした人には貴重だろう。他にも作家別ガイドブックもある。これも現地にあったもの。

で、このガイドブックに帯がついてて、発刊しているイタリア・シラベ社の日本における書籍販売代理店の情報が載っている。アニマータにないものなども、もしかしたら取り寄せ可能かもしれない。 未確認ですけどね。

Mighty book(マイティブック)のサイト

シラベ社のサイトのURLも、英語かイタリア語だがここにある。 必要な人なら問い合わせる価値があると思う。


はい、次でラスト。