「組立-転回」シンポ【今、ここにある美術批評(誌)】告知

上田和彦さんと進めている「組立-転回」では、展示と書籍発刊の準備対話企画として、以下のシンポジウムを開催します。


■【今、ここにある美術批評(誌)】

  • 星野 太(美学、表象文化論
  • 川人寧幸(ツバメ出版流通株式会社)
  • 櫻井 拓(ART CRITIQUE編集)
  • 松浦寿夫(ART TRACE PRESS責任編集)
  • 永瀬恭一(組立-転回)


開催趣旨などは「組立-転回」サイトに書いた通りです。まず作家の立場からいえば、美術の世界で言われて来た「美術批評の終焉」は、美術家の制作に批評行為が不可欠である以上、メディア上のフィクションだった、という事です。


ここでの「メディア」とは要するに既存の美術ジャーナリズムの事ですが、0年代後半からインディペンデントな形の美術批評誌が活発になってきました。これもシンポジウム冒頭で述べる予定ですが、言うまでもなく独立系の美術批評誌は従来もあった。しかし以前は限定的に、ローカルに読まれていたそれらは、まずはブログやtwitterなどによって「可視化」されました。更にその上で、小取次という新しい事業がツバメ出版流通株式会社によって開始されたことで、広範囲に流通し入手可能になりました。


今回、美術批評を検討しようとしたとき「批評家」ではなく「批評誌」を切り口としようと思ったのは、上記のような状況に対応した発言と認識が、今の美術の世界にほとんど無いからです。特に今回、ツバメ出版流通株式会社の川人寧幸さんをお招きしていることは、「組立-転回」独自の問題意識の現れと考えています。


そしてやはり「組立-転回」サイトで書いた事の反復ですが、これはなんら楽観的な話し合いではない。今、特定の形で可能となっている批評を構成し条件づけているものをきちんと認識しなければ、いずれより困難な状況が待っている。そのような、ある種の「戦後の準備」として【今、ここにある美術批評(誌)】を構想しました。


今回、美術批評を検討するのに美術批評家を中心に置いていないわけですが、これは決して“美術批評家”を軽視しているのではありません。この事は当日、今進行している「組立-転回」の企画全体についてお話する中できちんと説明します。そして、言うまでもなく星野太、櫻井拓、松浦寿夫という強力な書き手が並んでいる以上、狭義のテクストとしての美術批評にも触れて行きます−というか、それを語る切り口が美術批評“誌”なわけです。


皆様のご来場をお待ちしています。