東京国立博物館/日本国宝展に関するツイート

東京国立博物館で開催中の日本国宝展に関するツイートをまとめました。現況での博物館、そして展覧会に関する疑問もある展示でしたが、正倉院宝物を東京で見ることができる貴重な機会でもあります。













三井記念美術館「東山御物の美」展に関するツイート

三井記念美術館東山御物の美」展についてのツイートをまとめました。非常に質の高い展覧会で、作品入れ替えもあるため、数回は見に行くべきかと思います。









横浜トリエンナーレ2014に関するツイート

横浜トリエンナーレ2014に関するツイートをまとめておきます。全体に前回よりもポジティブに見ました。








青山大輔「Works on Paper」関連ツイート

Twitterで投稿した青山大輔「Works on Paper」展の関連ツイートをまとめておきます。









絵画の制作過程という物語/『絵画と物語』展

ART TRACE GALLERYで『絵画と物語』展を見た。鈴木俊輔、長沼基樹、向井哲の三人による展覧会で、一般に絵画と物語と言うと、絵画の物語性が主題となりそうだが、そうではない。いわば、絵画の制作過程の進行と物語の構造を呼応関係において、物語から絵画の制作過程を逆照射しようという試みで、ちょっと面白い。以下はwebサイトからの一部引用。

一般に物語の創造は、複数の出来事の間に因果関係のコンテクストを設定する役割があり、これは絵画制作でも似たようなところがある。例えば発案された時点ではそれを遂行するための計画が慎重に練られたりするが、当然の如く逸脱へと移行し、後続する結果(作品)は、捻れた形で原因としての意味を獲得する。もとより出来事の記録が不完全であったり、記録する形式が不明な場合等、常に標準化しようとする我々の認識はかえってそれらに刺激され、強烈な欲望のもとに理解しようとするあまり倫理的な解釈にまで及ぶことも稀ではない。


ここでは絵画の制作過程のある種の「事後性」、別のいい方をすればある変形が意識されている。絵画の制作において、描き始める前に(程度はいろいろあるとして)想定されていた展開が、描きの途中で当然のようにある逸脱をはじめ、想定外のところに着地したときに行われる、作家の側のそのプロセスへの抵抗が、絵画自身に織り込まれる、このあり方を『絵画と物語』展は意識しようと言うのだ。例えば一般に作品の制作プロセスの「物語化」はその受容の局面で問題とされ、それを批判的に検討するとき決まって持ち出されるのは「そのような物語化に抵抗する画家」という「神話」なのだが、むしろ制作プロセスを「物語化」するのは時に画家自身かもしれない。ならばそのような過程を実際の物語を媒介にして検討してみよう、と見てとれる。少なくともこの展覧会は「制作プロセス」「結果としての作品」「作家」をすべて分割して対象化しており、作家を「制作プロセス」からも「結果としての作品」からも切り離して考えている。


こういう事は、ある意味意識的な作家から見れば日常的かもしれず、見方によっては当然の前提かもしれないが、当然の前提を改めて俎上に上げ再度意識下することは大事なことだし、また、それを展覧会として組織し「観客」にも提示することは興味深い試みだ。ここでの「観客」は、おそらく展示作家自身も含まれる。そのように自分で作品を、展示を組織することによって対象化すること。しかもその対象化の対象に制作プロセスも内包すること。こういう試みは何度でも繰り返し各作家によって試みられていいように思う。また、三人でこのコンセプトの捉え方自体がそれぞれに異なっており、その偏差も見るポイントになる。


鈴木俊輔の作品は、その色彩の明度と彩度の関係に独特の「法」のようなものが感じられる。低い明度と高い彩度によってある種の色彩の輝きを作ることは、美術史的にはゴーギャンなどを見ればわかるように絵画の世界で一定の流れを持ったものだけれども、しかしそのようなあり方が「手法」として固定化すると、急速に画面は定式化して動きを失う。鈴木はそのようなマニエリスムを避けて制作を持続していく、ある「法」を自らの中に持っていると感じられるのだ。このような「法」と「手法」は、何が異なるのかといえば、恐らく鈴木の作品においては主体性が色彩を含めた作品(絵画)の方にあるのだと思われる(つまり、今回の展示のリード文に即していえば「欲望」が作家ではなく作品の側にある)。


鈴木が参照項として選択したのは宮沢賢治の「オツペルと象」なのだが、この象達の猛った暴走が、鈴木の作品制作の隠喩のようなものとして機能しているようにも思う。出品作品は、画面が細かな色面に重なり分割され、その分割された形態がそこかしこで象や林・森の形象を想起させるのだけれども、ここで鈴木の作品は、宮沢賢治の物語をプレテクストとして扱っている。つまり物語を図解することなく、自身の作品の、色彩とマチエールをなんとかコントロールするためのガイド線のようなものとして扱っているように見える。鈴木の作品では油絵の具が、溶け混ざろうとしてそれが禁じられ、彩度をお互いに殺しあうことなく相互に関係するようにしながら画面がモザイク壁画にようにオーバーレイし細分化しひび割れていく。色彩の応答関係ということなら小室の縦長の作品が最も効果を上げていたが、この作家の画面は最終的に大きな画面を希求しているように思える。セピア系の色調で統一した作品は、まとまりがある分、作品の自律的運動が乏しいように思える。


向井哲の作品は彫刻が最も良い。過去にも一度、僕は向井哲の作品を見ているが、その時も彫刻がいいと感じた。前回はあまりに手先の運動に過敏になっているように見えた絵画よりも、若干不器用な断面が作品の表面を均していない彫刻がよく見えたのだけれども、今回の彫刻はかなり精密に、こういってよければ高精度に仕上げられたサーフェースを持ちながらなお良く見えたので、この作家にはかなり本格的な彫刻家の資質があるのかもしれない。絵画も前回見たときよりは良く見えた。それには作品サイズの大型化、タッチの要素の増大と複雑化が貢献しているように思う。


一見ただタッチが散乱しているだけに見えながら、そのタッチが架空のタッチで切り取られている。タッチの形にマスキングされた上からタッチを重ねてマスキングを取っていると思われるが、このような操作が見た目以上に画面を複層化している。岡崎乾二郎の影響も感じる出品作だが、いずれにせよ、やや慎重に見える絵画よりは、えいやっとやっている感覚のある彫刻が優位に見えた。しかし、それでも絵画がある拡張感を持ち始めているのであれば、それはアナバシス(クセノポン)の物語を梃子に置いた成果なのかもしれない。


長沼基樹は、僕にとっては今回の展示で最も“苦戦して見える”作家だった。端的にいえば小山田浩子の「穴」という元になるテキストの「挿絵」のようなものに、今回の出品作はどうしても見えてしまう。逆を言えば『絵画と物語』という展覧会に観客が期待するある種の欲望に、最も効果的に応えている作家なのかもしれない(そういう意味では最も「成功」しているのかもしれない)。しかし、今回の企画意図という視点からいえば、小室に展示してある小さい作品が、一番的確に応答しているように見える。


ここでは丘陵の斜面に低い雲がぶつかっているようなイメージがあるのだけれども、その雲をイメージさせる絵具のマチエールが溶剤に溶けて丘陵を感じさせる色彩の上に流れだそうとしている。ここでイメージとマチエールは一気に反転し、画面全体が油絵の具の緻密な濃度のコントロールされた湖のように見えてくる。そしてその眼でほかの作品を見れば、一見素朴な「挿絵」に見える絵画が、絵具というメディウムとそれが必然的に組織してしまうイメージの共犯関係を明らかにする作品にも見える。相当に「上手く」見えてしまう点がこの作家の条件なのだと思うが、その「上手さ」をどこまで遅延・回避できるかが(見る側にも)問われる作品と思えた。


グループ展でここまで企画コンセプトと出品作を緊密に関係させる試みは珍しいのではないか。必ずしも派手な展覧会ではないが、作家自身が自らの制作を批判的に捉えているという意味で、かなり貴重な展覧会になっていると思える。その試みがどこまで成功しているかは判断が分かれるだろうが、僕にはそのばらつきの判断と検討も含めて、多くの人の目に触れていい展覧会であるように思う。


※会期は火曜日まで。

「反戦 来るべき戦争に抗うために」展に関するtweet

反戦 来るべき戦争に抗うために」展が開催されています。思いのほかTwitterで感想を書き込むことになったので、こちらにもまとめておきます。展示に関しては以下のURL参照のこと。
















永瀬恭一個展「もぎとれ 青い木の実を」


那須高原にての個展のご案内です。今回は画集を見て絵を描く、という試みを中心にした展示となります。「組立-転回」では狭い色調、主に白のバリエーションとドローイングの組み合わせで作品を作っていましたが、今回は色彩が前面にでることとなりました。展覧会名は、立原道造の詩から。
遠方からいらっしゃる方は永瀬までご一報ください。Sunday galleryであればなるべく在廊しようと思います(お約束はできませんが)。

  • Bar+Gallery殻々工房
  • 2014年10月11日〜2015年1月17日
  • 18:00-24:00(Food Last 23:00)
  • Sunday gallery 12:00〜14:30(LO14:00)
  • http://karakara.pepper.jp/
  • 定休日:木曜日、12月31日、1月1日
    • 10月18、19日は臨時休業します。
    • 他にも都合により臨時休業する場合があります。遠方よりお越しの場合はご連絡下さい。
  • Phone.0287-78-1100
  • karakarafactory@gmail.com


通常営業時間の18:00-24:00pmは、店内が大変暗くなります。作品を中心にご覧になりたい方はSunday gallery(日曜12:00〜14:30pm)をお勧めします。
交通ですが、電車の場合は黒磯駅から東野バスにて広谷地下車、徒歩15分くらいとなります(細かい道がありますので地図にお気をつけください)。バス時刻表は以下。


年明け1月までの長い会期をいただきました。殻々工房はお酒、お料理共に素晴らしいBarです。秋冬の那須観光の際にお寄りいただければ。