2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

良い絵画、とは何なのかを問われて、すらりと答えられる人というのはいるのだろうか。それが例えば、ある「状況」に対して「有効」であるとか、「趣味として好き」だとか、そういう事に還元できるのであれば、どれ程簡単だろうかと思う。なぜそれが簡単なの…

終わってしまったが、東京国立博物館で「プライスコレクション/伊藤若冲と江戸絵画」を見て来た。伊藤若冲を目当てに行くと、三の丸尚蔵館での「動植綵絵」の展観に比べてやや散漫な印象を持ってしまう。こういう言い方はたぶん不当だろう。「動植綵絵」は伊…

雑記。今程美術の歴史の中で「色彩」というものが無頓着に使われている時代というものもないのではないか。なぜああも無闇やたらと“カラフル”な絵を描いたり、逆に映像的イメージに隷属させるような色の扱いをしたり、ただのインパクトのためにどぎつい色を…

ホテルオークラ別館で行われている「花鳥風月 日本とヨーロッパ」展にあったヴラマンクの「大きな花瓶の花」を見て、ヴラマンクって思っていたより面白い作家だと感じた。「大きな花瓶の花」は1907年に制作されていて、簡易なパンフレットによれば縦101.5cm×…

直島・ベネッセアートサイト(8)(最終回)

直島で使われる「サイト・スペシフィック」という言葉は、どこかカッコ付きではないかと思わせるものがある。とりあえず野外作品に関して言えば、その「サイト・スペシフィック性」が希薄だ。なんとなく前の記事での草間彌生の「南瓜」が流されてしまった話…

直島・ベネッセアートサイト(7)

ベネッセアートサイトの屋外作品を見ていると、2000年に見て回った越後妻有トリエンナーレでの野外作品を思い出す。野外の作品の場合、そこに置かれるオブジェクトが図であるなら、背景というか、場所が地になるわけだが、これが直島のような、バックに「海…

ゆーじん画廊で岡崎乾二郎展を見た。この展覧会を見たのは金曜日の夕方で、面白かったので帰宅中はすぐにでも文章を書こうと思ったのだが、実際に家についてみると、どうも文章を打つ気にならなくて、そのうち製作を始めてしまい文章のほうは今まで放ってお…

直島・ベネッセアートサイト(6)

ベネッセハウスについて。本館はミュージアムと呼ばれ、宿泊室と美術館がほとんど分離せずにある。また別館はオーバルと呼ばれ、ミュージアムからモノレールで10分ほど登った所にある。こちらは宿泊専用施設とされている。ベネッセハウスは直島に最初にでき…

直島・ベネッセアートサイト(5)

家プロジェクトについて書く。直島の本村という集落の4件の建物(古い民家等)を利用したり新築したりして作られた一種のインスタレーションだ。ジェームズ・タレルが最もよかった。地中美術館と併せて考えると、ベネッセアートサイトの中軸はやはりタレルで…

直島・ベネッセアートサイト(4)

地中美術館に関して、僕は最初に「美術的に最も良い」と言っておきながら、思わず親密な気分に「させられる」と書いてしまったり、あるいは「息苦しさがある」と書いている。この理由について考えた。最初のエントリで僕は、モネの部屋の展示があまりに厳格…