2010-01-01から1年間の記事一覧

「組立」で出す、というか作る本の、おおよその構成が固まりつつあって楽しい。私が(境澤さんと)編集しているのが申し訳ないくらいに贅沢な執筆陣が並ぶ予定で、内容もちょっと困ってしまうくらいに充実しそうだ(ハンディな本が作りたかったのだけれども…

日暮里・舎人ライナーという電車に、初めて乗った。JR西日暮里駅から少し歩いて、高い場所にある、天井は幕の張られた駅舎で待っていると、都営線のマークのついた小柄な車両が入って来て、乗ったら2人掛けの椅子が全部「後ろ向き」で(つまり進行方向と逆…

なぜ今頃になって私は終わってしまった「ウィリアム・ケントリッジ」東京展についてこんなにも長々と書くにいたってしまったのか(2)

(昨日の続きです)展覧会を見た誰もが思う基本的な疑問-つまり彼はなんでこんな苦労をわざわざしているのか-を簡単に棚上げしてはいけません。そして、そのための手がかりは、会場最初に置いてある「メモ」と題された小さなモニタで見る作品です。ケントリ…

なぜ今頃になって私は終わってしまった「ウィリアム・ケントリッジ」東京展についてこんなにも長々と書くにいたってしまったのか(1)

●●さま 永瀬です。先日は面倒な依頼を受けていただきありがとうございました。また、急に伺ったにもかかわらず応対してくださり、恐縮です。ちなみに関係ないのですが帰りがけ、前から気になっていた古書店に立ち寄りました-いまどきあの町のあんな場所に残…

次回「組立」企画概要

次回「組立」企画概要は以下の通りとなりました。専用blogより転載。 以下の企画を公開します。■「組立」 境澤邦泰 ×田中秀和 ×永瀬恭一 ×松浦寿夫 展 会期:2010年10月5日(火)〜16日(土) 会場:人形町Vision's http://www.visions.jp/ 時間:12:00〜19:…

・ある作品が誰かに「良い」と言われたとき、作り手はどこかにヤバイという感覚を持つべきなのかもしれない。少なくとも単純に喜んではいけない。もし誰かに「良い」と言われたのなら、それは多くの場合、その誰かの既存の価値観に似て、その価値観を補強し…

・自分が初めて、なんとなくピン、ときた感じで描いた絵のことを覚えている。小学校4年生の時だった。写生大会だったか、あるいは普通の図画の授業の時間だったかは忘れたが、校外に出ての水彩画の授業だった。農業用水路の縁に座って対岸の工場の一角にあっ…

子供はなかなか歩きたがらなかったが、家の近くの細長い公園の、わきの入口から中に入ってみたら、すっと私の腕の中から降りてしばらく立っていた。公園全体がゆるやかな傾斜地で、中央を上手から不定形に抉った形をしている。夏場はそこに水が流されている…

ごく久しぶりに家で一人でテレビをつけていたら、オリンピックをやっていて女子モーグルをライブで見ることができた。日本の女子は4選手が全員予選を通過し、とても良い雰囲気で決勝が始まったように見えた。結果はテレビで焦点が当てられていた上村愛子が4…

古河街角美術館「ミックスジャムは見た21」展で見た小林達也氏の作品『空を飛ぶ』について。パネルにカゼインテンペラやジェッソで描かれている。ところどころに色鉛筆やクレヨンで引いたような線も見えている。80号程度の大きさがある。赤、青、クリーム色…

プラトンの「メノン」は、私が最近いくつか読んだ、ソクラテスを登場人物とする対話編の中でも抜群に面白い。「面白い/つまらない」という基準で言えば「ソクラテスの弁明」以上のものはないのではないかと思っていたのだけれども、これは予想を越えられた。…

家で、新しく買ったお酒を呑むのが楽しみで、スモークチーズなんかも揃えて、炭酸水も冷やして、八重洲地下街のお酒屋さん等で探した小さなメジャーカップも購入し、お風呂にも入り、まぁとりあえずは子供を寝かしつけなければいけないので、一度は家の電気…

ギャラリー山口で先週橋本祐一展を見た。キャンバスに油絵の具で描かれている。いずれも150号を越えようかという大作で、特徴的なのは厚い絵の具層がごつごつとキャンバスの淵にはみ出している作品が目立った点だ。この結果それらの作品のフレームはすっきり…

旧フランス大使館でNo Man’s Land展を見た。とは言っても、私はこの展示の全体を見きれていない。なんというか、良くも悪くもむちゃくちゃな展示で、かならずしもゆったりしたスペースではない旧庁舎(廊下や部屋は特に広くないし、またたくさんの観客がいた…

マンガ「よつばと!」を読んでいて、やばいな、と思った。ほとんどここには「何もない」。それはこのマンガがくだらないとか空虚だ、ということではない。積極的な意思に基づく洗練された技術が駆使されて「何もない」ことを目指された作品なのだ。ある町に…

私は「本」というメディアにフェティッシュな固着がない。そういう人間はアーティストブックという言葉にも概してロマンを持たないものだと思うけど、昨日で終わったうらわ美術館の『オブジェの方へ−変貌する「本」の世界−』は面白い展示で、趣味的になりが…

中学星

本来ニコニコで見たものですがアカウントもっていない人のためにyoutube版をリンクします。これどういう経緯で作られた動画なのか知らないのですが、上手いなぁと思いつつそれは映像と編集についてであって、笑いの質としては爆発力に欠ける。その点、古いの…

美術品損害に国家補償

昨日の記事とも関係するニュースが。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100121-00000054-san-pol 産経が報じています。どうせすぐリンク切れするので全文引用。日本の美術館が置かれている苦境、というのにも思いをいたさねば、ということでしょうか。 …

東京都美術館でボルゲーゼ美術館展。今時この手の「●●美術館展」に過大な期待をする事の方がバカなのだし、佳品が数点来ていれば御の字であることは了解済なのだし、そういう意味では会期早々の日曜日に拍子抜けするくらい観客が少なかったのは日本の観客の…

●●様永瀬です。何かと連絡事項だけになってしまい、申し訳在りません。頂いたメールには他にもいくつかお返事したい事があり、むしろそちらの方が私にとっては重要な内容なのだと思っているのですが、大事だからこそ文章を描くのに時間がかかりそうであり、…

自分の文章が気に入らなくなっています。思い当たる時期はあるのですが、このblogのエントリは一種の「やわらかさ」のようなものを失ったのだと思います。失った、という言い方は良くない、捨てた、と言う方が正しいのかもしれないのですが、しかしやはり「…

人は「強い」ものに弱い。そこに「強い」ものがあれば、なんらかの反応を示さずにはいられない(その「強さ」は自分への働きかけの「強さ」だから、反作用を起さずにはいられない)。そして、往々にして、「強さ」をすぐさまに肯定してしまう。それは、例え…