2010-01-01から1年間の記事一覧

ボストン美術館展は、出品作が予想外に良く驚いた。ベラスケス、ヴァン・ダイク、レンブラント、ゲインズバラ、クールベ、マティスといった作品のいずれもが魅力的で、目玉に1-2点だけ佳品をあて、他が在庫一斉処分という風の類似企画(●●美術館展…)より、…

なびす画廊で松浦寿夫展

「組立」でご一緒している松浦寿夫さんの個展が開催中です。近隣では南天子画廊で岡崎乾二郎さんの個展がやはり開催されており、注目です。blocにも情報登録しました。 ●松浦寿夫展 なびす画廊 http://www.nabis-g.com/index.html ●岡崎乾二郎展 南天子画廊 …

川村記念美術館でバーネット・ニューマン展

川村記念美術館のwebサイトでバーネット・ニューマン展が予告されています。トップページには何もないのですが、カレンダーのページを見ると、本年9月4日から12月12日までが「バーネット・ニューマン展(仮称)」とされています。 http://kawamura-museum.di…

六本木の森アーツセンターギャラリーでボストン美術館展。モネで1コーナーを作っているのが特徴的なのだけれども、そういうキュレーションを無視して個人的に最も重要だと思えたのがセザンヌだ。1877-79年に製作された「池」は、セザンヌの特異性をはっきり…

サッカーワールドカップで日本代表がカメルーン相手に勝っちゃった。びっくりした。日本代表は、恐ろしくリアルに、勝ち点を狙うサッカーをしてその目標を達成した。この成果の原因は大きく三つある。第一に非常にはっきりとしたコンセプトを持っていたこと…

昨日は朝から自宅前の空き地の草刈りをしていた。引っ越しをしてきた冬場は枯れ草ばかりだったのが、春先にぽっぽと様々な芽が吹出して、気づいたらそれはそれは見事なまでに様々な雑草が生い茂り、その背丈はぐんぐんと高くなって、素晴らしく鮮やかな緑の…

追記さらに

芸術の「見る教育」に関してはツイッター上で以下の議論があったそうです。参考までに。 http://togetter.com/li/26981

追記

いまだにはてなキーワードに古谷利裕の項目がないのに驚愕したので作成しました。初めてのキーワード編集なので、問題があれば修正ください。 http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B8%C5%C3%AB%CD%F8%CD%B5

ペドロ・コスタ氏が東京造形大学の客員教授に就任されたそうです。 http://www.zokei.ac.jp/news/2010/021.html 最近の造形の展開は注目に値します。諏訪さんが学長に就任したのは、本当に良かったと思っていたのですが、しかしこれは造形云々ではなく、日本…

キューブリックの「2001年宇宙の旅」は、今見てもやっぱりクオリティが高い映画で、ついつい眺めてしまう。日本語字幕なしで、英語だけで見ていてもほとんど困らない映画で、それだけでも凄いな、と思うのだけど(「博士の異常な愛情」とかだとやっぱりセリ…

言語の爆発的失敗 東浩紀から吉本隆明「マス・イメージ論」への遡行

一 「マス・イメージ論」というクレーター 読む事が出来ない本がある。なぜこんなにも読めないのか。 一九八四年に福武書店より出版された吉本隆明「マス・イメージ論」に対する批判は、柄谷行人「モダニティの骨格」(一九八五年「批評とポストモダン」収録…

昨年3月の「組立」展で配布したフリーペーパーに掲載の、永瀬によるtxt『言語の爆発的失敗 東浩紀から吉本隆明「マス・イメージ論」への遡行』の全文を転載します。「ユリイカ」5月号に掲載された佐藤雄一氏のtxt「QF小論」中にある「床屋談義」に当たるも…

・頼まれて、ある文章を書くことになっているのだけど、まったく何の準備もしていなかった。そうこうしているうちに、その文章のきっかけとなるような出来事があって、ああ、これなら書いてみたいな、と思って、しかしそのモチーフについては以前このblogで…

hinoギャラリーで松本陽子ドローイング展「Regarding Living Beings」。私は以前、移転前のhinoギャラリーで松本陽子氏のタブローの展示を見たとき「なぜ後から白をかけるのか疑問」と書いたのだけれど(参考:id:eyck:20050204)、今回のドローイングにおい…

うらわ美術館で「再発見!クレパス画―身近な画材の可能性」という展覧会を見て来て、展示そのものは正直それほど刺激的とも言えない内容だったのだけど、会場の最後にどーん、と設置された来場者のクレパス作品の展示がびっくりするほど良くて、もはやこの展…

ニコニコ動画の「踊ってみた」カテゴリで人気のひとにいとくとらさん、という方がいて、この人のダンスが魅力的だ。初音ミクの歌を踊っていたりするのだけど−そしてそういう人はかなりの数いるのだけど、この人のすごいところは、その「フォーム」が“初音ミ…

・草と土がまだらになった地面を、長男が走る。それは、どこかに向かって走るのではなく、走る事自体が目的となっているような運動で、柔らかな空き地の起伏を、駆け上がり駆け下りて飽く事がない。ふいにゆっくりになって斜め前をみて、私を振り返って「い…

「崇高」関連書籍情報

以下の書籍、最近まで品切れで古書が高値で取引されていましたが、入手可能か、近日可能予定になっています。 ●崇高と美の観念の起原(バーク) みすず書房 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4622050412.html http://www.amazon.co.jp/gp/product/462205…

「水曜どうでしょう」についての、長い長いメール(兼blogエントリ)

●●くん 僕のブログの更新頻度が落ちているとのご指摘なので、エントリのネタにすることを前提に文章を書いてみましょう。僕は「水曜どうでしょう」に少し前までハマっていました。今、一緒に展覧会を企画している人から面白いと聞いて、見てみたのです。僕は…

IKAZUCHIにて大友真志展「Mourai 5」。photographers' galleryの向かいに小さな(photographers' galleryだって大きくはないので本当に小さな)空間があって、そこにカラー写真のプリントが展示されていた。展示を見たのが少し前で、ちょっと記憶があやふや…

・アクリル絵の具の粘度の薄さというのは、こと絵の具を「色彩」という観念ではなくそれ自体の現れとして扱おうとしたとき、どうにも基底を組み上げづらい(モデリングペーストなどのメディウムを使えばいいのだけれど)。もう少しいえば、油絵の具という、…

三菱一号館美術館で「マネとモダン・パリ」展。マネの作品をこれだけまとめて見ることができたのは初めてだ。2010年という年が日本の美術史において意味を持つとすればそれはこのマネ展が開催された、という事実によってではないだろうか。門外不出の「オラ…

「おおきく振りかぶって」の14巻を読んだ。やはりこのマンガは面白い。高校野球という素材を元にしていて、もちろんその緻密なゲーム描写が素晴らしいというのは大きいのだけれど、しかし私の様に野球にまったく興味も知識もない者にも迫ってくるこの「リア…

・新しく建てたアトリエ兼自宅には土間がある。自分が製作で必要な各種作業、木材を切ったり組んだりする際に使うかなと思っていたのだけれど、やはり1Fは基本的に生活空間なので、当初の予定より大幅に狭くなってしまい、結果でき上がったのはなんとも半端…

「組立」のwebサイトを公開しました。以下「組立」専用blogより引用。 「組立」のwebサイトを公開いたします。 http://www015.upp.so-net.ne.jp/nagase/kumitate/ 製作は田中秀和さん。もう何度か書きましたが、田中さんの作業はとっくに終わっていて、永瀬…

大島弓子の漫画「グーグーだって猫である」の4巻を買って、なんども繰り返し読んでいる。そしていい漫画だなぁと思う(寝床で、居間で、アトリエで)。5巻まで出ているこの本の4巻を買っていることに「いまさら?」と思うひともいるかもしれない。私もた…

21_21 DESIGN SIGHTで「クリストとジャンヌ=クロード」展を見ていた。写真とスケッチ、いくつかの小さな梱包作品の実物で構成されていた。どこか建築家の展覧会を思わせる内容だった。最も強く感じたのは、この人たちの基本的な力の源は、巨大なプロジェク…

森美術館で「六本木クロッシング2010」展を見てきた。私は前回2008年の同展について、会場に行かずに悪口を書いたのだけれど(参考:id:eyck:20080117)、今回は、そういう経緯とかはぜんぜん意識せずに、ごく普通に見にいった。単純に言って、まったく見に…

吉祥寺「百年」で古谷利裕作品展「線と色と支持体」。狭い空間の書店の、主に上のほう、壁面の隙間や梁を利用して、作品が展示されている。大別して、ドローイング(紙にモノクロの線で構成されているもの)とタブロー(パネルやキャンバス、段ボールなどに…

長谷川等伯展を東京国立博物館で見ていた。キャッチコピーが「絵師の正体を見た」というものだったのだけれども、私の感想は真逆で、等伯という画家が、一人の個人という意味ではわからなくなった。端的にいえば出品作があまりにもばらばらで、核のようなも…