2007-01-01から1年間の記事一覧

国立新美術館についての先日のエントリ(参考:id:eyck:20070305)に関して、メールにて「国立新美術館は英語表記ではアートミュージアムではなくアートセンターであり、その差を考慮すべきではないか」との指摘を受けた。まず僕は先のエントリでは、国立新…

国立新美術館「20世紀美術探検」で見ることのできたモランディの作品について。メナード美術館所蔵のものとシュプレンゲル美術館所蔵のものの2点が展示されている。どちらもキャンバスに油彩で描かれ、静物とだけ題されている。メナード美術館のものは1953年…

国立新美術館で「20世紀美術探検」を見てきた。この美術館には初めて行ったのだけど、多分学芸員がなんとか頑張っていて、しかし彼等にはどうともならない美術館の大枠が、建物も中身もハリボテに見せているという印象だ。これが「国立」の「新」世紀の「美…

昨日の「げんしけん」についてのエントリで、書きはぐった事がある。この佳作の、ある意味最大の問題点は「ヌルい女性おたく」が描けなかった所だと思う。当初の「現視研」のメンバー達は、特徴はそれなりにあるもののやはり全体として消費専門でダメである…

昨年末にまんが「げんしけん」の最終巻がでてしばらく経ったのだけど、この作品について何か書こうと思いながらこんな時期になってしまった。雑誌連載の終了から数えれば一年だ(僕は単行本でしか読んでいなかったけど)。このマンガについて書こうと思えば…

ちょっと前に埼玉県立近代美術館に「巴里憧憬」という、まんまなタイトルの展覧会を見に行って思ったのは、なんというか、マイナーな人間の悲しみみたいなもので、こういうのはちょっと背中が寒くなるというか、今でも切実なものとして感じられる。要は戦前…

道具について。絵画において、表面を形成する絵の具、あるいは基底を為すキャンバスなどは原則的に目に見えるが、それらが造形されてきた過程において介在した数々の道具は、完成作においては姿を消していて目に見えない。しかし、木材であったり絵の具であ…

ある画家が、ふと記した孤独、という言葉に、別の画家が共感する、と言ったとき、この二人の間には何か連帯のようなものが生まれたと考えていいのだろうか。もちろんそうではない、と僕は言いたくてキーを打っている。例えば画家どうしが、たかだか顔見知り…

「ミックスジャムは見た18」展は無事終了しました。御来場下さった方、ありがとうございました。 出品者の発表が続きますので、以下告知しておきます。●阿部初美 東京国際芸術祭(TIF)2007「アトミック・サバイバー〜ワーニャの子供たち〜」 構成・演出 阿部…

下記の展覧会に出品しています。 ●古河三高校美術部OB展 MixJamは見た18 古河街角美術館 http://www.city.koga.ibaraki.jp/machikado/ 〒306-0033 茨城県古河市中央町2-6-60 12/12-2/18(2/13は休館) 9:00-17:00(初日は12:00から/最終日15:00まで)

殻々工房再開したようです。 http://karakarakobo.seesaa.net/article/32643326.html

ずいぶん前の話しだが、ギャラリーが集まって開いたアートマーケット「art@agnes」に行っていた。画商や一部インデペンデントな団体も混ざっていたらしいが、ホテルを借り切って各客室に作品を置きホワイトキューブではないリビング的空間でアート作品を見て…

DVDでミスティック・リバーを見て、すっかり暗い気持ちになった。これが映画として見事だというのは間違い無いと思うが、なんというか、生きるのが全体にイヤになる。隙のない構成と見事なカメラワーク、ことにその色彩に関しては、こんな青はちょっと他では…

殻々工房、数日お休みだそうです。 http://karakarakobo.seesaa.net/article/32249718.html

photographers' galleryで林道郎氏のコンセプチュアル・アートと写真についての講議があって聞きに行った。1960年代にヘゲモニーを握っていたグリーンバーグ及び抽象表現主義へのアンチとしてのコンセプチュアル・アートが、その前段のミニマリズムにおいて…

昨年11月くらいに禁煙をして、もう二ヶ月以上は持続している。そろそろ禁煙成功を宣言してもいいんじゃないか。最初の2週間くらいは本当に辛かった。使うこともあるまいと思っていた禁煙パイポを2箱も買い、ガムはボトルで消費した。なんというか、序盤戦は…

ひぐちアサのマンガ「おおきく振りかぶって」が面白くて熱中してしまう。高校野球を異常に微分的に描いたマンガで、驚いたことに既刊7巻の単行本、連載期間3年以上を費やして、なんと高1夏の甲子園予選の1試合目が終わっていないのだ。こんな異常な展開の原…

東京都写真美術館で細江英公展を見た。僕が細江英公の写真を知ったのは大学の図書館に置いてあった写真集を見たのが最初だと思う。かなり古びたもので、けして良い状態ではなかったが、モノクロの強いコントラストによるヌードが印象的だった。その少々脆く…

相米慎二の「ションベン・ライダー」をDVDで見たのは実は年末だ。最初、そのあまりといえばあまりの80年代臭さに仰け反ってしまい、もう勘弁してほしいと布団をかぶりたくなったのは、まぁ自分が80年代に10代という致命的に恥ずかしい時期をすごしてしまって…

那須の殻々工房に作品を置いてから、気付けばもう一ヶ月がたっている。なにしろ普通のギャラリーではない、あくまでバール+ギャラリーという場で、最初からまるまる5ヶ月展示することになっているのだから、なんというか「個展への張り詰めた緊張」みたいな…

エッシャーは絵を描くのが下手だ。既に終了したBunkamuraでのエッシャー展を見て思った。これは、エッシャーが画家ではなく、徹底して版画家であることに起因している。エッシャーは原則的にデッサンではなく「作図」の人で、一定の規則に基づいて画面内に幾…

DVDで「バーバー吉野」を見た。この映画はやや通俗的な言い方をすると「女子が幻想する男子」というモチーフが貫かれていて興味深い。いかにも「小学生男子」というものの生態をこまめに描いているように見えながら、というか「小学生男子」の細部を描けば描…

1/2にNHK-BSハイビジョンで5時間以上のフィレンツェ特集番組があった。現地からの生中継を中心にしていて、年賀の挨拶で行った配偶者の実家で楽しみに見た。なにしろ僕は去年の1/2に日本を発ってフィレンツェに4泊したのだから、ほぼ同じ季節の現地を歩いて…