2007-01-01から1年間の記事一覧

昨日は「うきぐも」展のサブ会場ギャラリーの搬入と展示をしてきて、明日はメイン会場のアトリアの搬入となる。昨日の展示の結果を見て自分で思ったのだけど、もしかすると僕は絵画の「外部」に立っているように見られるかもしれない。ただ、僕は自分が絵画…

アトリアでの展示まで1週間を切った。普段の個展なんかと違うのが、自分とは異なった場所に「主催者」がいる、ということで、何が困ると言って出品点数や作品タイトルなどを事前に有る程度伝えることを求められる。なにしろ僕は当日の展示作業が終わらないと…

東京芸術大学の陳列館で行われている「《写真》見えるもの/見えないもの」展が面白かった。美術館で開催中の「パリへ」展とコレクション展を見に行く事が主目的だったのだが、格としては上の美術館での展示物、ことに「パリへ」展での作品が、いくつかの例外…

損保ジャパン美術館でペルジーノの展覧会を見て来た。保存状態を含めた精度の高い作品は1点しかないため、展覧会としては充実しているとは言えない。しかし、それでも日本でペルジーノが見られるのは貴重な機会だし、全面的に本人の手が入っているわけではな…

森美術館でコルビジェの展覧会を見て来た。ずいぶんと工夫が凝らされ、またお金も十分にかけた企画のようで、資料と模型と写真の羅列になりがちな建築家の展覧会としては見ごたえがある。ことにコルビジェのアトリエ、集合住宅の代表作であるユニテ・ダビタ…

配偶者の祖母が亡くなり、数日慌ただしくしていた。数カ月前から入院していて、容態が悪くなってきたので配偶者が見舞いに行った、その日に亡くなった。そこから通夜と告別式の準備で、実家は多忙を極めていた(僕はまったく戦力にならなかったが)。偶然、…

Bunkamuraで「モディリアニと妻ジャンヌの物語」展を見た。2月に見た埼玉県立近代美術館でのモディリアニの彫刻と絵画がちょっと気になったので(参考:id:eyck:20070227)、まとめて彼の作品が展観できたのはありがたかった。ただ、これはないものねだりと…

カルロス・ソリン監督のアルゼンチン映画「ボンボン」が意外と面白かった。この映画は、いわゆる動物ものというか、ゆるいほのぼの映画として宣伝されているし、まぁマネジメントとしては妥当なのかもしれないが、内容は実はシリアスだし形式的にも興味深い…

シュウゴアーツで中平卓馬氏の写真展を見て来た。個々の写真はそれぞれ「強い」という感覚があるのだが、しかしそれがどうにも捕らえ所がない強さで、変な感じだ。断然素晴らしい、と留保なしで断定もできず、かといってさっぱりつまらない、わからない、と…

ゴールデンウィーク中は数日殻々工房にいて、何冊か持ち込んだ本を読んでいたのだけど、一番面白かったのは会場に置いてあった宇佐美圭司展のカタログだった。この展覧会は1992年に池袋セゾン美術館で行われていて、僕も見ている。華々しい印象のあったこの…

殻々工房での半年にわたる展示が終了しました。御来場下さった方、搬入・搬出に協力してくれた方、そして殻々工房のお二人に、深く感謝いたします。 来月は、川口市立ギャラリーアトリアでの展示があります。こちらは5日間という短い期間なのですが、大形の…

雑記。ここしばらくは天候が不安定で、晴れていたと思ったら急に真っ暗になったり、天気雨がふったり、ひょうが降ったりした。特に自宅で制作していた時に降ったひょうは迫力があって、なんか荒れた感じの雨だな、と思っていたらだんだん音が硬質なものにな…

国立西洋美術館での「イタリア・ルネサンスの版画」展に行った。レオナルドの展示のついでだ。保存状態を含めた作品の品質にずいぶんとバラツキがあるが、美術展というよりは「ルネサンス美術を広めたニュー・メディア」というキャッチコピーからもよみとれ…

東京国立博物館で行われているレオナルドの「受胎告知」の展覧会に行ってきた。僕はこの絵について昨年ウフィッツィで見た時、「最初から完成させることだけが目的だったとしか思えない」と書いた(参考:id:eyck:20060308)。はっきり言ってしまえば、あま…

現在、日本の美術で「穴」になっているものがあって、それはアメリカに対する正面切った思考だと思う。正確に言えば、アメリカへの視線がナショナルな日本主義に折り返されてしまい(つまり表面上はアメリカが希薄になっており)、それがそのままマーケット…

川口メディアセブンでソクーロフ「エルミタージュ幻想」を見た。ここは市営のDVD上映設備を持つ施設で、立派なプロジェクターとスクリーンが置いてあったのにも驚いたのだけど、席がほぼ満席になってたのにも驚いた。フィルムで見られればもちろんそのほうが…

東京ミッドタウンに行って来た。目的はサントリー美術館の「日本を祝う」展で、ほとんどこの美術館所蔵の「泰西王侯馬騎馬図屏風」を見に行ったようなものだったのだけど、展示されていなかったのでがっかりした。橋本治の「ひらがな日本美術史」でこの絵を…

ワタリウム美術館でブルーノ・タウト展を見て来た。展示されていたのはタウト建築の写真と模型、それに多数の手紙と日本滞在時の工芸デザインの仕事、他にはスケッチやタウトの撮影した(下手な)写真などだ。いつも思うのだけど、「建築(家)の展覧会」と…

絵の形式と内容というのはそう簡単に分別できない。それを分けているのは概念、というより言葉なのであって、絵そのものを「形式」とか「内容」とかに分けてしまうことはできない。ちょっと考えてみれば当たり前のことで、例えば僕と言う人間を「人体」とか…

絵画にとって手の労働というのは中核的なものとしてある。労働を忌避するいかなる思考も絵画を回避する。そこに思考の軌跡が現れる。労働は、いかなる知的クリシェや教養主義も受付けないし、ただ単に「知的」ではない知性そのもの、「主義」ではない教養(…

個展関連の告知です。 4/29・30と、5/4〜5/6のギャラリータイム(14:00-17:00)ですが、永瀬は4/29と、5/5、5/6の三日間は現地におります。どの日も14:00〜19:00くらいまで、現場で座ってます。この会場は、夜間はかなり照明の影響が大きいので、作品に…

資生堂ギャラリーの内海聖史展について。地下への通路の壁面に、昨年レントゲンヴェルケで展示された、5cm×5cmの作品が再配置されている。地階の部屋には、縦410cm、横922cmの、22枚に分割されたパネルの組み合わせによる大形作品が設置されている。また、そ…

先日photographers' galleryで平倉圭氏の講座「ゴダール・システム」の第一回を聞いてきた。僕は以前平倉氏のtxt「ダイアグラム的類似」について、『「見ることに内在」し「見たことについて語ってはならない」というゴダールを、言葉で記述している困難にぶ…

上野の森美術館で開催中のVOCA展に出品されている、小林達也氏の絵画「ざわざわと生きている」について書く。連結されたパネルに、ガゼンインテンペラ・色鉛筆・ガッシュ・ジェッソ等で描かれている。サイズは縦が3m40cm、横が2m50cmとなる。画面内には具象…

美術館のススメ、みたいなエントリを書いておきたくなって、さんざんいじり回した挙げ句廃棄した。「美術の物語」で、やっぱゴンブリッチ分かってるじゃん、と思えたのが巻末の参考図書に「旅行ガイドブック」が上がっていることで(良い旅を!とか書いてあ…

ゴンブリッチの「美術の物語」に関するエントリはちらほら反響があって、これはとても嬉しい。僕は今日までに半分くらい(盛期ルネサンスが終わったあたり)まで読み進めていて、やっぱりこの本面白いなぁ、と確認している。入門書でも再発見する事はたくさ…

東浩紀+北田暁大共著の「東京から考える」を読んだ。この本は読者のプライベートな部分に訴えるようにできている。「年齢も同じで出身大学も同じ」二人が、それぞれ体験して来た東京およびその周辺の土地の記憶を辿りつつ様々な事を語るのだけど、年齢・性…

amazonで「美術の物語」を買うことにした。僕は本は断然(こういう「ダンゼン」て、石坂洋次郎あたりの小説で、学級委員長みたいな女学生が言いそうだ。「その意見にはダンゼン反対するわ!」とか)リアル書店でぶらぶら歩きながら買うことにしてるんだけど…

ゴンブリッチの「美術の物語」を買おうか買うまいか悩んでいる。この本はかつて美術出版社から「美術の歩み」上下巻として出ていたものの新訳だ。以前の「バカにも分かる美術の本」というエントリでは筆頭に紹介している(参考:id:eyck:20050406)。美術の…

10日には那須の一部展示替えをしてきた。お世話になった皆さんに感謝します。昨年末以来、久しぶりに自作をみて思うところはいろいろあって、たぶんこの感覚を元に6月の川口の市民ギャラリーでの展示に向うことになると思う。この展覧会のWebページが出来上…