水平な場の記憶と未来:武蔵野美術大学優秀作品展

武蔵野美術大学・大学院の卒業生による優秀作品展を見に行っていた。「組立」の会場に、大学院生の小野由美子さんが見に来てくれて、ハガキも別途郵送してくれたので、会期末だったけど見にいった。小野さんの作品はオーソドックスに描写的な庭の風景画なの…

都心の高密度コレクション・ブリヂストン美術館

ブリヂストン美術館で「あなたに見せたい絵があります。」という展覧会を見た。「組立」の会場となったHIGURE 17-15 cas の小澤さんにチケットを頂いていたのだけど、これが本当に充実した内容だった。もともとブリヂストン美術館は素晴らしいコレクションを…

半分だけ見え隠れする光景−及川聡子展「薄氷/水焔」

冬枯れた葦やがま(蒲)の立ち並ぶくさはらを、足下だけ見てあるいていたことがある。子供の頃だ。沼地わきの空き地だったろうか。休耕田のようなところだったろうか。視界を白く乾燥した草に覆われた地面だけが、自分の歩行に沿ってスライドしていく。流れ…

弱い弱さと強い弱さの境界−「行為の触覚 反復の思考」展−

2012年3月7日から12日まで、上野の森美術館で開催された「行為の触覚 反復の思考」展は、ある「弱さ」において特徴づけられる展覧会だった。この「弱さ」には積極性・消極性の両面が感じとれるけれども、美術館という場で作家が企画者となり展覧会を組織し…

またメールでも御注文承ります。

【「組立」−作品を登る−】とご明記ください。 住所・氏名・電話番号・商品名と数量をお書き添えの上、下記アドレスまで送信してください。 kumitatebook001@kumitate.org 到着後1週間以内に、同封の振込用紙で郵便局にて代金をお振込頂きます。 商品代金と…

書籍組立販売店情報

※ツバメ出版流通(株)さま取扱い店追加しました。(11月9日) A5/132ページ 税込み1470円(本体1400円) 高木秀典 【製作ノート】 有原友一 【「画面」の前で−作品を登る−】 佐藤雄一×松浦寿夫 【『「固有値(Eigenwerte)」としての支持体を自己生成する』…

今期「組立」について

今期「組立」は無事解体しました。ありがとうございました。

書籍「組立」−作品を登る−

*発刊日が確定しましたので再エントリします。 A5/132ページ 税込み1470円(本体1400円) ※発刊が、3月8日となりました。4日から8日までは、「組立」会場では、予約受付となります。送料無料。 高木秀典 【製作ノート】 有原友一 【「画面」の前で−作品…

組立・公開講義企画「授業」

定員に達しましたので、以降はキャンセル待ちしていただける方のみ受付ます。 「セザンヌ──具体的な抽象」講師:荒川 徹 (東京大学大学院/芸術論・風景論) 2012年3月17日(土)18:00 HIGURE 17-15 cas 地図:http://bit.ly/n6yDcW JR山手線/京成線/日…

書籍「組立」−作品を登る−

A5/132ページ 税込み1470円(本体1400円) ※発刊が、3月8日となりました。4日から8日までは、「組立」会場では、予約受付となります。送料無料。 高木秀典 【製作ノート】 有原友一 【「画面」の前で−作品を登る−】 佐藤雄一×松浦寿夫 【『「固有値(Eig…

3月4日より「組立」を実行します。

■「組立」有原友一×高木秀典×永瀬恭一 展 * 会期:2012年3月4日(日)〜18日(日) * 会場:HIGURE 17-15 cas * http://hgrnews.exblog.jp/ * 時間:12:00〜20:00(最終日は17:00まで) * 地図:http://bit.ly/n6yDcW * 専用web:「組立」http://kumitate.o…

『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』

既に終了してしまったのですが、中村ケンゴさんの企画『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』に参加させていただきました。 http://www.nakamurakengo.com/sympo/ 元美術手帖編集長の楠見清さんをコメンテーターに迎え、中村ケンゴさん、眞島竜…

ミックスジャムは見た23

古河三高OBによる展覧会です。僕はOBではありませんが、縁あって参加しています。 会場:古河街角美術館 http://www.city.ibaraki-koga.lg.jp/m 会期:2月14日(火)〜19日(日) 時間 2月14日 12:00〜17:00 15日〜18日 09:00〜17:00 19日 09:00〜15:00…

以下の展覧会に参加します。

焼け野原の不在/メタボリズムの未来都市展

twitterに投稿した森美術館「メタボリズムの未来都市展」関連のツイートを転載します。本来ならばまとまったエントリにすべきなのですが、諸事情で時間がとれず。※1月8日のツイートを追加しました。 メタボリズム展、思うところあれど展示としては充実して…

変化しないために変化し続ける倫理は普遍へと至るか・内海聖史展

表参道void+で内海聖史「シンプルなゲーム」展。三坪の会場の正面の壁に、縦に細長いパネルを基底材とした絵画が12分割されて設置されている。パネルごとに基調色が定められている。青、紫、赤、黄と光がプリズム分解されたように並べられるが、キャンバス…

世界を豊かにする抽象・小林達也「モトメヨ ステヨ」展

那須の殻々工房で小林達也「モトメヨ ステヨ」展。絵を描く気持ちよさというのがある。別に難しい話ではなくて、感覚としては子どもの泥遊びとか水遊びに近い。ひんやりとした、あるいは生暖かい水溶性のものを、手に一杯つけて紙や壁に塗りつけていく行為。…

アートプログラム青梅・絵と文字と記号の重なり或いは絵画以外の拒否

アートプログラム青梅2011「山川の間で」展、青梅市立美術館の展示室でO JUNの作品をほとんど初めて見た。名前だけは聞いたことがあった作家なのだけれども、今まで作品を見る機会がなかった。ボード状になった紙に色鉛筆やクレヨン・パステルなどで描かれて…

絵の具と一体化した描きが産む色彩と明暗・野沢二郎展

コバヤシ画廊で野沢二郎展。野沢氏は描くことで「描くとはどういうことか」を問う作家で、恐らく本人はそういう言い方を拒むだろうが、基本的にモダンな画家なのだと思う。野沢氏の画面にはロスコを想起する色彩があり、部分的にはリヒターかと思わせるマチ…

超お化け屋敷・横浜トリエンナーレ2011

横浜トリエンナーレ2011「OUR MAGIC HOUR−世界はどこまで知ることができるか?−」。この催しが特に水準の高いアートイベントではないことを指摘しても仕方がない。かつて椹木野衣は現代美術を「東京ディズニーランドと勝負できるか」と言ってみせてカウンタ…

夏の楽園の記憶・京都国立博物館「百獣の楽園」

夏に京都国立博物館で「百獣の楽園」という展覧会を見ていた。同館の収蔵品の中から動植物や昆虫をモチーフにした作品を猿、小獣、虫、魚といったおおまかな分類で分けて展示したもので、とりたててコンセプチュアルという程でもない、ある種の「ゆるい」展…

21世紀のレオナルド的発電/東京藝術発電所

東京藝術大学美術学部構内絵画棟、大石膏室アートスペースで東京藝術発電所というプロジェクトを見て来た。I, CULTURE PUZZLEという国際的な文化交流活動の一環で行われた、漆作品展「生まれなおす工芸:福島の漆」への照明電力供給をアーティストによる発電…

剥がされた壁と強度のない「べちゃ」/masuii R.D.R 大川祐 展

twitterに投稿したmasuii R.D.Rの「今、生きているということ -大川 祐- 展」を、以下にまとめます。こういう試みは今年2月の上田和彦氏の作品について書いたとき(http://bit.ly/qDk4VJ)に続き2回目になります。twitterという形式故のレビューになったと…

非ビエンナーレとしての所沢ビエンナーレ

所沢ビエンナーレ2011が終わってしまった。私は一回見に行ったのだが、かなり面白かったので会期中にもう一回は来たいな、と思っていた。しかしかなわなかった。Twitter上での反応を見ると賛否両論で、私はこの反応自体が今回の所沢ビエンナーレの「成功」を…

作品の条件

一般に美術は「閉じて」おり、それを「開く」ことこそが美術家の「善」というイメージがある。だが、この「開く」という行為は理念的に行われなければならない。即ち、美術を「開く」ことは、ある種の閉じた次元を通過しないと実現しない。 「開く」ためには…

「組立」準備対話企画

佐藤雄一(詩人)× 松浦寿夫(画家・美術批評) 『「固有値(Eigenwerte)」としての支持体を自己生成する』可能性 2011年9月26日(月)19:00〜 photographers' gallery 料金:1,000円 定員25名 要予約⇨https://ssl.form-mailer.jp/fms/34f5d1a4162301 電話…

「組立」

有原友一×高木秀典×永瀬恭一 展 会期:2012年3月4日(日)〜18日(日) 会場:HIGURE 17-15 cas http://hgrnews.exblog.jp/ 時間:12:00〜20:00(最終日は17:00まで) 休日:月曜日 地図:http://bit.ly/n6yDcW 公開イベントの開催、書籍「組立」の刊行を予…

次期「組立」開催のお知らせ

「組立」専用ブログより引用します。以下の企画を公開します。

繋がってはいけないものが繋がるとき/映画「ナゴシノハラエ」

大原とき緒監督の映画「ナゴシノハラエ」を渋谷UPLINKで見ることができた。ホームページ(http://www.uplink.co.jp/factory/log/004028.php)に記された紹介文を以下に引用する。 「私の恋人は兄だ」衝撃的な告白から始まるこの映画は、これまで描かれてきた…

羽釜の思い出。

・私と配偶者、幼稚園に通い始めた長男で暮らす家の台所に昨晩、羽釜が来た。実はこの羽釜は私も知らなかった「いわくつき」だったらしい。 ・「いわく」は知らなかったが、この羽釜自体はイヤになる程見覚えがある。今は誰も寝起きしなくなった、私の実家に…