2008-01-01から1年間の記事一覧

ひぐちアサの高校野球マンガ「おおきく振りかぶって」10巻が出た。三回戦の相手、崎玉高校の設定は面白い。簡単に言えば、崎玉高校は優秀な監督(モモカン)を持てなかった主人公チーム=西浦高校野球部だ、と言っていい。崎玉高校はけっして無能なチームで…

川村記念美術館で「マティスとボナール」展。先のエントリでマティスに関して書いたこと、ことにその「線」についてだけピックアップした(モローに絡めて)のは、流石に単純化が過ぎたかもしれない。マティスの線に私が何かを感じたのは確かなのだけど、マ…

土曜日には雨の中、松下電工 汐留ミュージアムでの「ルオーとマティス」展にでかけていた。そんなに大規模ではないと思っていたし(規模だけ見れば実際そうだった)、やっぱり今マティス、と言えば川村記念美術館の「マティスとボナール」が目玉だと思ってい…

福居伸宏さんより、とても丁寧な指摘を受けました。 http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080510「アート・インディペンデント・メディアの状況(2)」(id:eyck:20080418)の記事に対し、福居さんからは「疑問」というエントリでトラックバックを受けており(htt…

●ちょっとずつ、絵を描いている。大きな作品が、ある程度のところまでは順当に来ながら、どうしてもあと一歩のところで分からなくて、寸止まりになっている。なんか過去の作品を見返してみたり、画集をぱらぱらとめくってみたりしながら、なかなか突破口が見…

国立西洋美術館でティツィアーノによる「ウルビーノのヴィーナス」の展示を見て来た。大混雑なのかと思ったら、空いているとは言わないものの比較的良好なコンディションで展観できてほっとした。この作品はウフィッツィで見ているのだけど、あの時は初期-盛…

疑問への応答

福居伸宏さんより「アート・インディペンデント・メディアの状況(2)」に対して「疑問」と題されたトラックバックが送られましたので応答します。 http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080507#p3 ●1. コマーシャル・ギャラリーの在り方への認識 コマーシャル・ギ…

「アート・インディペンデント・メディアの状況」と「ブラッシュストロークの現在地点」に関しては、貴重なレスポンスをいくつか頂いている。その多くがパーソナルな形で(メール、あとはちょっとmixiのメッセージとか)来ているというのも興味深い(スペル…

「組立」専用blogにて対話企画・磯崎憲一郎×古谷利裕の予約を本日より受付け開始しました。 受付を終了いたしました。多数のご応募ありがとうございました。(5/1)

ブラッシュストロークの現在地点(2)

1996年の灰塚アースワークスに参加し岡崎乾二郎の近くにいながら「日本における抽象」から距離を置いていた山内崇嗣(1975-)は、日本というローカルな場所での「アート」にシニカルな視線を寄せ、その「悪い場所(椹木野衣)」におけるズレた感覚に基づいて…

ブラッシュストロークの現在地点(1)

要はブラッシュストロークからの距離をどう取るのか、どのように扱うのかの問題なのだと、とりあえずは言い切ってしまおう。今の日本の美術状況において、もっとも事態をはっきりさせる切り口は、絵画におけるブラッシュストロークなのだと、これも簡単に言…

さらに追記

福居さんより再度丁寧な御指摘を受け、修正しました。5/12永瀬付記

更に追記

福居伸宏さんより、このエントリに対する「疑問」がある旨指摘を受けました。 http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080507#p3。 応答は以下です。 http://d.hatena.ne.jp/eyck/20080507 なお、アート・インディペンデント・メディアに関しては、以下のような活動…

更に修正

A-things西原功織展に関してアップロード時の展覧会期間+作家名の誤りを、A-thingsからの指摘で修正しました。失礼しました。4/21永瀬付記

修正そのほか

2/4のエントリ内における、ベーコンの評価のありように関して、メールにて誤認を指摘されました。そこでエントリ内にその内容を追記しました。 http://d.hatena.ne.jp/eyck/20080204 御指摘に深く感謝します。なお、先日のエントリ内のスペルミスも合わせて…

アート・インディペンデント・メディアの状況(2)

美術の、社会学や文芸批評、オタクカルチャーと違う独自性が「展覧会」というメディアを持つことだ。「展覧会」が、単なるショーあるいは個人のプレゼンの場ではなく、一種の批評メディアであることを意識的・無意識的に捉え実践していた人は少数ながら存在…

アート・インディペンデント・メディアの状況(1)

既存のメディアが弱体化して、そこにwebやフリーペーパー、自主運営スペースなどのインディペンデントメディアが侵食しているなんていう構図は、いまやわざわざ書くまでもない前提になっていて、むしろ焦点はそういった「大文字のメディア」に代替しつつある…

「組立」専用blogに、磯崎憲一郎さんと古谷利裕氏、そして私の間で交わされたメール上の雑談を公開していこうと思います。まずは1通目。 http://d.hatena.ne.jp/nagase001/20080416 ささやかな内容で、とうてい緻密とは言えないものですが、その分少し面白い…

●バッハの音楽はほとんど問題なく美しいと感じる。しかし、それ以前に遡るととたんに怪しくなる。12-3世紀のゴシック期の音楽、例えばフランスのノートル・ダム楽派になるとかなり奇妙な感じがする。多声音楽は興味深く聞く事はできるのだけど、それは教養と…

ややマニアックな話。ここしばらく、油絵具の様々な白を使っている。普通に組成別にジンクホワイトやチタニウムホワイト、シルバーホワイトetc.を使いわけるというのもあるけど、なんと言っても白ほど各メーカーの差がはっきり出る色はないと思う。絵の具は…

大学に入った時期の事は今でもとても良く覚えている。春の、むんわりした暖かい空気とか、どこかしら香っていた花の気配とか、芽吹きはじめた緑とか。八王子の丘陵地にキャンパスがあったから、そういう、4月の気象の変化がとてもビビッドに感じられた。さえ…

最近すっかり電源を入れなくなったテレビをふとつけてみたら漫画家の西原理恵子氏が出ていた。教育テレビの福祉関連の番組で、昨年がんで亡くなった夫の鴨志田穣氏が長く患っていたアルコール依存症について話していた。鴨志田氏はアルコール依存症は直した…

銀座のギャラリーなつかで多田由美子展を見てきた。多田氏の展示は昨年の九月に茅場町のGallery≠Galleryで見ているが(参考:id:eyck:20070921)、作品の成り立ち方はほぼ同じながら、その有り様に変化も感じた。具体的に書けば、キャンバスに主に風景、しか…

絵画において、画面の四角いフレームが最初から前提されていて、その上で「自由」で「自律的」に描くことは何の苦もないし、また往々にして「自由」で「自律的」だと自分が感じている時というのは、なんのことはないフレームに抵触しない範囲でしか動いてい…

photographers' galleryで北島敬三写真展「PORTRAITS 1992-2007」。会場は二つに分かれている。大きい方の空間では真っ白い背景に正対した男性が1人、横長の画面中央に白いシャツを着てバストショットでカラーで写っている。同じモデルが同じフォーマットで…

埼玉県立近代美術館で熊谷守一展。熊谷には自分の子供の死を主題とした絵が数点あり、うち長女・萬の死に基づいた2点「ヤキバノカエリ(1948-55)」「萬の像(1950)」がこの展覧会でみられる。また、私は去年訪れた大原美術館で「陽の死んだ日(1928)」を見…

ずいぶん時間がたってしまったけど、上野の西郷会館内にあるレストラン「聚落台」に行ってきた。西郷会館は土浦亀城による建築で、銀座シネパトスの入っている三原橋センタービルや立田野ビルとならんで現存する土浦建築の貴重な例だ(参考:id:eyck:2006050…

「組立」専用blogより転載 http://d.hatena.ne.jp/nagase001/20080318 「組立」対話企画・磯崎憲一郎×古谷利裕「組立」では、小説家の磯崎憲一郎氏と古谷利裕の公開対話を行います。●ゲスト/磯崎憲一郎さん 1965年生まれ 2007年、「肝心の子供」で文藝賞受賞…

企画をたてる、という事の、内実の多くの部分は「都合を合わせる」ということなのだと改めて思う。絵を描くというのは、なんというか、恐ろしいくらい個人的なことで、放っておくとどこまでも一人きりでやれてしまう。もちろん正確には、制作は、自分という…

「組立」永瀬恭一×古谷利裕展

会期:2008年6月16日(月)〜29日(日)会期中無休 会場・共催:masuii R.D.R gallery http://www.masuii.co.jp/rdr-top.html 時間:11:00am〜19:30pm 地図:http://www.masuii.co.jp/rdr-map.htm フリーペーパー「組立」を会場内で会期中のみ発行。執筆者…